れいのトンネル
トンネルって、あるよな。
いや、車が通る普通のやつじゃ無くてさ、いわゆる心霊スポットってやつ。
オレ、最近そこいったんだよ。
どこのトンネルかって?その話はちょっと待ってくれ。
……でさ、●●っていただろ?そう。高校の時の。
え?ああ、お前も俺も●●とはそんなに仲良くなかったよ。大して話したことないしな。まあそんなことはどうでもよくて。
そいつにドライブ行こうって誘われてよ。ガソリン代出すからって言われて、じゃあ良いかって思って。
しばらくはあてもなくのんびり走ってたんだけどさ。
急に、「良い場所がある」って、●●が言うんだよ。
どこよ?って聞いたら、「心霊スポット」って返ってきてさ、おお、いいじゃん。って思ったよ。ちょうどその時、夜の1時回ってたし。雰囲気あるじゃん?
●●が言ったのが、【縺倥&縺トンネル】ってトンネルだった。
え?よく聞こえなかった?縺倥&縺トンネルだよ。とりあえず続けるぞ。
んで、俺もなるほどーって思ってスマホで調べたんだけど、全然曰く付きでもなんでもねえの。
縺倥&縺トンネル。
お前も調べてみ?何にも出てこないから。
だからさ、なんかと間違えてんじゃねえの?って●●に聞き返したんだよ。
そしたら、●●はムキになって、縺倥&縺トンネルに入ったら、「14番目のライトを通る寸前に窓から身を乗り出してみろ」って言った。
な。やけに細かいよな。
上から霊が覗き込んでくるとか、いつのまにか後部座席に乗り込んでくるっていうのはありがちだけど。
まあ珍しいのと、説明が細かいからやってみるかって思って、トンネルまで行ったよ。
で、そのトンネルの壁でピカピカ光ってるライトの14番目のところで、身を乗り出してみたんだ。
思いっきりな。カーブのところだからわかりやすかった。
なんだよ、その顔。本当にやったぜ?
バーン!ってな。
でもさ、普通だった。
お化けとか幽霊は別に出てこないし、車降りたら●●はいないし、ほんとやんなっちゃったね。
いや、ほんとだって。マジでいなかったもん。
それで俺一人になっちゃってさ。ほんとだるいよな。
●●?あいつはお前と同じで免許持ってなかったよ。
持ってたらガソリン代出すなんて言わないだろ。
あ、言い忘れてた。今日は一緒にドライブしてくれてありがとな。
もうすぐ着くから。
縺倥&縺トンネル。
…なあ、ごめんな。
でも俺、ずっと一人は嫌だったんだ。
14番目のライトを通るから、ちゃんと助手席で見ててくれよ。
再現するから。
俺が事故で死んだ瞬間を。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます