焼き芋といえば
庭の草むしりをした後、天日干しして枯れさせておく。落ち葉は乾燥したものを集める。裏の林の中で拾う枯れ枝は、なるべく古いものが良い。
火を点けるには、少々のコツがいる。最初は燃えやすい紙、束になっていないものを1枚使う。もしティッシュペーパーがあれば、それが一番点きやすい。
火の点いた紙から、今度は紙の束に火を移す。新聞紙の束が良いだろう。雑誌の場合、背表紙の部分を剥がしてバラバラにしておかないと、中が燃えにくく、最後まで燃え残る可能性がある。
紙束が燃え始めたら、上から枯れ草をかぶせる。大量に乗せ過ぎると、中の火が消えてしまって燻るだけになるから、空気の層が残るように程々にしなければならない。
枯れ草に火が点けば、もう大丈夫だ。途中で消える心配はないだろう。キャンプファイヤーのように枝組をして、枯れ木を燃やそう。細いものを先に、太いものは後に。家庭ゴミもまとめて炎の中へ放り込んで、焼却処分する。
※現在、本作品のような焚き火を行うと法令に触れる可能性があります。ご注意下さい。
こうして火の点いた木炭を作ったら、いよいよ本命の登場だ。よく洗ったサツマイモを、濡らした新聞紙で包み、アルミホイルを巻く。これを人数分、燃えている木炭の上に並べる。
周りに散らばった燃えカスなどを中央に集めながら、数十分から小1時間ほど。目を離すと思いがけず火が大きくなり過ぎたり、風で周りに燃え移ってしまい、火事の原因になるから注意だ。
こうして焼き上がった焼き芋は、ホクホクで甘みが強い御馳走になる。時々、焼き過ぎて皮が焦げてしまうが、焦げた部分を剥がせばやはりホクホクで美味い。幼少期によく作った思い出の味である。
近年、多くのスーパーなどで、ホットスナックのように焼き芋が売られている。時々購入して食べるが、自分で焼いて食べたあの思い出の味には到底及ばない。
生のサツマイモを電子レンジで調理する事も可能だ。洗ったサツマイモを、濡らしたキッチンペーパーで包み、ふわっとサランラップを巻いてレンジで6分から10分。乱切りにしたサツマイモを、炊飯器でご飯と一緒に炊いても作れる。どちらも非常に簡単だが、味はスーパーの焼き芋よりも更に劣る。
やはり全然違う、自分で焼いた焼き芋の味。今はもう、法令により自宅でゴミを燃やせなくなり、作る機会もなくなった。もしあの頃に戻れるなら。もし明日地球が終わるとしたら。絶対にもう一度食べたい。
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