2年半後、軽トラにまつわる面々。
第308話 駐在所の面々の今。
シンジが異世界で軽トラと時空魔法のレベルを上げて日本に戻り、クウちゃんやアシュトー司令官との「家飲み」の会が催されてから約2年半後。
ここ、晴田県警丸舘署上中岡駐在所では――
「武藤巡査部長!」
「どうした? 緒方巡査長」
「クウちゃん様から入電です」
「アッハイ」
「もっしもーし! 無糖くん?」
「武藤です」
「あはははは! 真面目な対応おっかしー!」
「(ムカッ)どういったご用件でいらっしゃいますか?」
「そうそう、武藤君!
「(イラッ)具体的にはどういった内容になりますでしょうか?」
「そうね! 話すと長くなるから部下にラインさせるわ! よろしくね!」
「(はい、わかりました)だったら最初からラインしろ!」
「晴兄ちゃん? 心の声と言葉が逆になってるよ!」
「あ、すみません‥‥‥って、もう切れてるし」
「まあ、クウちゃん様ですからね‥‥‥」
日本全国の警察無線や公共機関の通信網に女神さまの玉音が一斉送信された『夜明けの日』以降。
クウちゃんは世界を救う女神として、なぜか地球の一般庶民たちの絶大な支持を集め、世界中の迷える子羊たちの希望になった。
あ、ちなみに『迷える子羊』とは単なる比喩にとどまらず、庶民たちの秘められて内在したチカラを
以前お邪魔した武田さんちの車庫のダンジョンの奥でもひつじさんは活動していたな。
ダンジョンで畑や田んぼで農作物を育てて食糧危機に備える試験をしたり、魔物を狩ってダンジョン産のお肉や海産物の普及に一役買ったりと大活躍していた。
あ、武田さんちのダンジョンにはちょくちょく潜らせてもらっている。
あそこのダンジョンの中だと、ルンが軽トラから離れても、苦しくも何ともないのだ。
なので、ルンは久々に思う存分野山を駆け回ってストレスの解消になったようだ。
この前なんて、異世界から兄姉たちも遊びに来て、海フロアでビーチバレー大会やバーベキューも楽しんだんだ。
異世界と言えば。
『夜明けの日』から間もなくして、異世界に飛ばされてしまったという佐藤真治さんが日本に帰ってきた。
どうやら、異世界でメタルなスライムをたくさん倒してレベルを上げたら自由自在に異世界と日本を行き来できるようになったらしい。
まあ、軽トラに乗らないとダメなんだけどね。
で、異世界にいるルンの兄姉たちや、向こうのシンジさんの仲間たちも何度も日本に遊びに来ている。
晴田市の大型ショッピングモールに連れて行ったときはみんな驚いていたな。
で、クウちゃんからは駐在所にちょくちょく連絡が入り、「『
どうやら、悪を一掃するときに備えて、ルンに身近な犯罪者から闇を祓わせたりとか、軽トラのレベルを上げておけといったような内容だった。
『軽トラのレベル』というのがなんのこっちゃわからなかったのだが、ダンジョンで魔物を倒せばいいということで、武田さんちのダンジョンでいろいろな魔物を狩らせてもらった。
車庫のダンジョンでは、8階層でゾンビとかスケルトンとかが出て、オレは柔道技、緒方巡査長は剣道技で魔物をたくさん倒した。
しかし、柔道技って魔物、特にアンデッド相手にはそぐわない。
スケルトンは裸? だから襟とか袖とか掴めないし、ゾンビは汚くて近寄りたくないのに組み合わなけれなならなかったり。
剣道を選択した緒方巡査長がとてもうらやましく感じたよ。
ルンはどうしていたのかって?
アンデッドフロアだから、ヴァンパイヤも出現して、そいつらには『お祓い』が特攻でサクサク倒していたね。
そして9階層。
そこは、メタルなフロアだった。
さすがにスライムにはオレの柔道技は通用しない。
『出足払い』しようにも足はないし、『払い腰』をかけようにも腰もない。
なぜか寝技の抑え込みで20秒経過したら『一本』で敵を倒せたのには驚いた。
ルンはもともと冒険者だから普通に戦ってたし、緒方巡査も剣道で問題なかった。
ハヌーは‥‥‥『飛び出し』という田舎のドライバーの心臓に悪い技を覚えてメタルなやつに突っ込んで倒していた。
まあ、そんなこんなでオレ達は軽トラと共にレベルを上げた。
ちなみにオレ達の昇進の件だが、やはり本部長きゅんの仕業だった。
昇進させたお礼にとルンの画像を求めてきたので、異世界バージョンとか学生服バージョンとかの写真を送ってやったら、その画像が警視総監にまで回ったらしく、危なく警視に昇進させられるところだったので断ったけどな。
そんなこんながありまして。
そして今回のクウちゃんからの指令。
それは、日本に来日する現役アメリカ大統領の闇を祓えというものだった。
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