第199話 2階層ボス撃破。
地下2階層の探索は進む。
ダークゾーンや落とし穴の罠を軽トラのおかげで難なくかわし、オレ達はボス部屋と思しき所にたどり着く。
「にゃー、でかい豚だニャ」
「この階層はオークさんが大きくなったのですね」
そこに現れたのは大きなオーク。どうやらこのダンジョンのボス部屋は、その階層に出る魔物の中の一つが巨大化して現れるパターンのようだ。
そして取り巻きは普通サイズのオークども。こちらは9匹×3グループと、1階の大狼を取り巻くコボルドたちと同じ数だ。
よし、まずは相手の力量を図らなくては。
オレ達パーティーの通常フォーメーションである、オレが前衛、美剣とマナミサンが遊撃という体制で敵と対峙する。
「『
先ずはオレが敵を引きつけ、隙を作る。
「『
注意力をオレに向けた取り巻きのオークどもをマナミサンが切り刻む。
「『
「『
大きなオークにオレが盾でひと当てし、ひるんだところに
「おお、やっぱり
見事、美剣が大きなオークの首を刎ねて戦闘は終了する。
「それほどでもありませんでしたね」
「ああ」
「にゃー、物足りないのにゃ」
プチトマトで
2階層のボスですら瞬殺であった。
「で、このタイミングでこれが来ると」
「美剣にもきたにゃー!」
「またみんなでレベルアップですね」
これで美剣が10、オレとマナミサンは7か。
釧路のダンジョンを攻略している自衛隊の部隊は、確かマスタークラスと呼ばれるレベル13を大きく上回っているらしい。
オレ達もだいぶ強くなったとは思うが、上には上がいる。油断しないようにもっと高めていかなければ。
「にゃー、この箱は楽勝なのにゃ」
美剣がドロップされた宝箱を難なく開ける。
その中には、
「やっぱり鍵か」
「このパターンなんですね」
1階層の大狼と同様、初回のレアドロップは大きなカギが出てきた。
他には、大狼より少し大きな魔石と、取り巻きのオークどもの魔石、そしてオーク肉が3つドロップしていた。
取り巻き連中は美剣ではなくマナミサンが倒したのでこのドロップ率だ。
オーク肉を求めるならば、今後は美剣に取り巻きを倒してもらうのもいいかもしれない。
1階層のボス、大狼は初回の鍵以降はレアドロップを落とさなかったので、この大オークも同じである公算が高いからだ。
「でも、この鍵、意味あるのかな?」
おそらくはボス部屋の近くに、この鍵で開けられる扉があるはずだ。
ダンジョン発生時の査定では、このダンジョンはこの階層で打ち止め。
1階層では、その扉の奥には2階層への階段があったのだが、次の階層がない以上、この鍵は不要にも思えるのだが。
「まずは、扉を開けてみないことにはな」
オレ達はボス部屋を出て、探索を続けることにした。
2階層のボスを倒したのち、周辺の探索を続ける。
ボス部屋の隣の玄室には、敵はなく中央に一つの宝箱。
「にゃー、今度こそ負けないニャー!」
1階層では、同じようなシチュエーションの宝箱の開錠で美剣が罠を作動させてしまい、テレポーターで当時未だ未知だった2階層に飛ばされたという経緯がある。
「待て美剣。念には念を入れよう」
もしも罠を作動させてしまっても被害が最小で済むように、オレは軽トラを宝箱ぎりぎりまで近寄せる。
大体の罠は軽トラに飛び乗る事で深刻な被害を逃れられるはずだ。
「にゃー、やっぱり手ごわいニャね。またどっかに飛ばされる罠ニャよ」
またテレポーターか。
もし、ここで飛ばされたらどうなるだろうか。
以前は、1階層下の2階層に飛ばされた。
ここは2階層。この下にフロアはないと思われる。
という事は、『石の中』もしくは『土の中』に飛ばされてしまう可能性もあるかもしれない。
「ん~、手ごわいニャ。またひっかかりそうなのニャ」
美剣が弱気だ。
無理もない。この前1回失敗しているからな。
いくら天真爛漫な猫とはいえ、美剣は人並み、いや、分野によっては人以上の知能があるのだ。
失敗を糧に成長したり、同じ轍を踏まないといった学習能力は備えている。
それに、今のオレ達はプチトマトでドーピングしている。
美剣の、宝箱の罠解除に対する感覚もふだんより鋭敏になってるはずだ。
それなのに、あそこまでの戸惑い様なのだ。
「よし! あきらめよう!」
「にゃ?! ご主人、いいのかにゃ?」
「ああ、宝箱は逃げない! 中にどんなお宝が入っているかは知らないが、オレ達の命より大切な宝などない! ここは勇気ある撤退をしよう!」
「にゃー、ご主人! 美剣は感動したのニャー!」
「はい! 先輩! かっこいいです!」
なんか褒められてしまった。
なんか
まあ、今回もオレが何か活躍したわけではないのだが……
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ということで、宝箱は後回しにして、さっき大オークが落としたカギの鍵穴がある扉を探し、こちらもすぐに見つかった。
「先輩、軽トラのマップによると、このフロアの未踏破エリアはこの扉の先だけです。」
そうか。
はたして、このダンジョンはは本当にこのフロアで終わりなのか。
もし、3階層も存在するのならば、この先もさらなる探索が続けられる。
命の危険はあれど、心躍らせる冒険ははたして終わってしまうのだろうか。
この扉を開ければ、すべてははっきりする。
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