第167話 れべらっぷ 15→18
ペペーポパペポ♪ ペペーポパペポ♪
「はふ、はふ、おいしい、です。はああ、おくちが、しあわせ、です。」
オレ達はダンジョンの地下6階層、海フロアを攻略したのち、再び地上に戻りセイブルの街で屋台をやっていた。
ちなみに冒頭の音楽は、某激安の殿堂から買った「呼び込〇君」であり、その集客力はこの異世界でも猛威を? 振るっている。
販売しているのは、本物のタコを使ったタコ焼きである。
以前、メオンの街では某ドン〇から買った家庭用タコ焼き機を使ったのだが、何と今回は、軽トラキッチンカーの内装をたこ焼き鉄板に変えての本格的なタコ焼きである!
タコはもちろん、海フロアで倒した奴だし、小麦粉はダンジョン3階層の小麦畑で羊たちが頑張って製粉してくれたやつを使っている。
自前の材料を使う事で、なんと12個入りで
このリーズナブルな価格にお手伝いのラクアさん(たぬき獣人で、本当は辺境伯の暗部のリーダー)をはじめ、新たに呼び寄せた、たぬき獣人暗部の方々が大忙しである。
なお、お手伝い筆頭のノエル様は、冒頭のとおりタコ焼きの試食に余念がなく、お手伝いの手はお留守である。
辺境伯の娘に生まれた身であっても年に1回食べられるかどうかという本物のタコを使ったタコ焼きの魔力に、もはや手伝いどころではないのだろう。
はっはっは、たくさん食すがよい!
おっと、ラクアさん? そのタコ焼きをひっくり返しているとがった棒、それ暗殺の暗器ですよね? なんかブラックエンジェ〇ズに出てきた自転車のスポークみたいなんですけど。え? こっちの方が使いやすい? なら仕方がないのか。
ちなみにダンジョンの海フロアの方だが、新たに軽トラに覚えさせた【雷魔法】が強力過ぎて、海面に一発放ったあとは、軽トラがモーゼのごとく海水を除けて海底を走り、そこでビチビチと気絶している魚介類にライムや羊たちがとどめを刺し、次々と軽トラの『収納』に放り込むだけの作業と化してしまったのだ。
もはやその数が多すぎて、オレでも収納に何の魚介類がどれだけ入っているのか把握できていないほどだ。
おかげで、軽トラのレベルも爆上がりで15から一気に18まで上がっている。
これによって、
これで、『時空魔法』のレベルを3まで上げられるようにはなったのだが、今回のタコのように既存の攻撃が通じない敵が現れることに備え、ひとまずポイントは保留にしておく。
それに、収納にはたくさんの海産物が入っている。
皆に美味しいものを食べてもらってプラスの感情を生み出すことはもちろん、ノエル様がタコ焼きを待ちきれないと思い、しばらくは金策も兼ねて屋台活動をすることにしたのである。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「こ、これはいったいどういうことだ……!」
軽トラキッチンカーでタコ焼きを販売し始めて早3日目。
目の前にはいまだ途切れることのない行列が続いている。
正直、この世界のタコ焼き人気を見誤っていた……!
初日、予定数1000食を見込んでいたタコ焼きは瞬く間に売り切れ、追加で1000食×2回ほど提供したが、それでも買えずに帰ってもらった人も出た。
2日目、初日の失敗を踏まえて、当初から3000食用意したのだがそれでも足りず、1000食の追加でその日を終えた。
そして3日目。そろそろ希望する人すべてにいきわたったとは思うのだが、リピーターが多いらしい。
見ると、前日も並んでいた人と同じ顔もたくさんいる。
かつての日本からの転移者、アキン・ドーが広めたタコヤキ文化はこの世界の隅々まで浸透していたようだ。
今日はすでに5000食の販売を終え、追加の1000食もほどなく尽きそうである。
もう食材のストックはないので、明日はダンジョン3階に戻って小麦の成長促進&羊たちの製粉作業を行う必要がある。
タコの補充も必要だ。また海フロアで電撃アタックをお見舞いしてこなくてはならない。
ちなみに、タコ焼きばかりでは飽きられるかとも思い、具材をタコから
売り上げは、1食12個入りで
それが初日3000食、2日目4000食、3日目6000食と合計390万円もの売り上げをたたき出してしまった。
かかった原材料費と言えば、お買い物アプリで買ったタコ焼きソース代金くらいのものだが、この売り上げに比べれば微々たるものだ。
あとは、手伝いのラクアさんたちへの日当か。これだって、一人1万円でもこの世界では破格らしく、たぬき獣人(辺境伯家の隠密)の皆さんは、「主君にお預けします」とか言っていたので、日当とは別に辺境伯にも売り上げの3割ほどを収めている。
支出を差っ引いた純利益でも200万オーバーだ。
「やばい……月50万円の仕送りで苦労していた日々の努力が無駄に思えてくる……」
思えば、一個80円くらいのスライム魔石をえっちらおっちら集めていたのは何だったのか。
もはや、この世界での一攫千金は約束されてしまったも同じではないか。
これからは、タコを狩って、小麦粉を作り、カツオ節や青のりなんかも開発して焼いて売るだけで、何の苦労もないではないか!
そんなことを考えているうちに材料はなくなり、店じまいして片付けを進めていたところ、
「ちょっとー! 商売ばっかしてないで、早くレベルを上げなさいよー!」
軽トラのスピーカーから、クウちゃんの声が響き渡ってきた。
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