第2話 不合格だったから
沙友理さんは、僕の首筋を軽く噛んだ後に耳元で呟く。
「約束……………………覚えてる?」
「……………………うん。でも、不合格だったから。」
「合格したら、克也君の血を吸わせて欲しいってお願いしたよね?」
「っ!吸血鬼ですかっ!違いますよね?」
もう一度、僕の首筋を甘噛みし、耳たぶを軽く噛んでから、
「あれ?違ったっけ。」
「全然違うし!」
そう、全然違うんだからね!
勿論、沙友理さんが吸血鬼で、僕の血を望むならいくらでも吸わせてあげるんだけど。
お願いしたのは、沙友理さんじゃぁなくて僕だからね。
「ふふっ、少し明るくなったわね。良かった。
さあ、立ち話も何だから座りましょうか。
じゃ、約束通りに私の血を吸わせてあげるね?」
「……………………沙友理さん?少しそこから離れましょうか。話が進みませんから!」
「あら?この話、進めて良いのかな?」
「……………………話を進める覚悟がまだ……」
「あら、あの約束はそんな中途半端な気持ちで私にお願いしてきたの?」
ソファーに腰掛けて、再び抱きしめられて、おでこと鼻先を触れさせながら、真剣な眼差しで強い口調で問い詰められる。
「でも……………………やっぱり不合格だったし。」
「ん、じゃぁ、来年合格するまでお預けで良いのかな?」
「…………………………………………?!」
返事を躊躇していると、そのまま更に引き寄せられて唇を重ねられてしまった。一瞬だけ。
「もうっ、もっと強引に、無理矢理にでも求めて欲しいんだけどなっ!」
もう一度、今度は僕から求めるように、長く唇を重ねて、抱きしめ合った。
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