第4章 波乱だらけの少年期③
第45話 新しい任務
最初にその内容を聞いた時には驚いたが、同時に「ついにこの時が来たか」と納得も行く。その任務の内容とは、ずばり、悪質な退魔師の捜査、及び討伐であった。
話を聞く限り、どうやら俺や
ちなみに、これは五柱に限った極秘任務らしく、他の退魔師には通達されていないとのこと。お
ともあれ、俺と夕菜は本土に呼び戻される流れとなり、他の五柱とチームを組まされることに。メンバーは全部で5人。それぞれの家から一名ずつ。それが何チームも存在するのだとか。
「よう。お前らが
今日はチームの初対面の日。退魔庁庁舎の一室で、俺達を待ち受けていた男性の一人が、真っ先に声を上げる。
「はい。俺が八神
「冴杜夕菜」
相変わらず無愛想で、そっけない挨拶しかしない夕菜。対する相手は俺達よりも年上だ。同じ五柱とは言え、あまり失礼な態度だと、相手の機嫌を損ねかねないと言うのに。
「なるほど、その名前は聞いてるぜ。アイドルだか何だかを、たかだか一般人から守りきれなかったっていう無能だろ?」
明らかな
「そう言うあんたは、
案の定。
「ああ!? んだとガキ! こっちは妖、そっちは人間。同じ失敗だとしても明確な差があるだろうが!」
「それを言うなら、こっちはオフの時間、そっちはお役目! どっちの失態が大きいかなんて、それこそ一目瞭然だと思うけど?」
しかし、棘のある性格という点では、夕菜も負けていないのである。チームを組ませるには、いささか無理のある組み合わせのように感じるのだが。
「はいはい、そこまで。私達は
両者の間に割って入ったのは、夕菜の他では、メンバーで唯一の女性。確か
「そうだ。我々はこれから、常時行動を共にすることになるんだぞ? 初対面から
清雫に賛同したのは、メンバー最後の一人。彼のことも情報だけは知っている。彼の名は
「でもよ~。こんな大した実績のないガキと一緒で、お前は満足なのかよ?」
「これまでの実績の有無は、この際関係ない。この任務で、我々が実績を上げらるかが重要だ」
「実績は大事だろ。こいつ等のせいで他の連中に舐められのは我慢ならねぇ」
「そういう個々の思い上がりが、巡り巡って今回の件を
「何だ~? 俺に説教しようって言うのかよ!」
「こらこら。喧嘩はダメって言ったでしょ? 光臣君も清信君も、もう少し落ち着きなさいな。それこそ年下の前でそんな姿を見せるなんて、みっともないわよ?」
その一言で、渋々と言った感じながらではあったが、両者は
「2人とも、ごめんなさいね? こんな風に五柱全員が招集されることなんて稀だから、組み合わせによっては、こういう小さないざこざが起こるのよ」
「ああ、いえ。俺は大丈夫です。火鷹さんが言ったことは間違いではないですし……」
「ちょっと、あんた! あんなこと言われて悔しくない訳!?」
「ここで言い争ったって意味ないだろ。今は前を向く時だ」
真実を言えば、もちろん思うところはある。しかし、ここで俺が声を荒げても、過去に起こったことは変らない。俺に出来るのは、
「そういう訳で、状況を説明してください。メンバーから見るに、このチームのリーダーは天宮さんなんでしょう?」
「あら、鋭い。物分りのいい子は好きよ?」
俺に向ってバチンとウインクをしてから、清雫は状況の説明に入る。俺達のチームに課せられた当面の任務は、今、都内で力をつけつつある退魔師の家系――
篠崎家が何かを企んでいるとしたら、その影響は都内全土に至る。それを任されたと言うことは、このメンバーへの期待値が高いと言うことに他ならない。何もなかった、と言うことにはならないだろう。
こうして、俺は退魔師業界の闇へと足を踏み入れることとなった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます