第19話 鍛錬(エレノア視点)
「はぁ、はぁ、はぁ。そろそろ限界かも……」
「……私も倒れそう」
ソフィアとサラが少し遅れながら、後ろについて走っていましたが、そろそろ限界のようですね。
「ここまでにして休憩するか」
「分かりました」
シオン様の合図で走るのを止めて、休憩に入ります。
ソフィアとサラは荒い息をしながら、その場で座り込んでしまいました。それ以外の4人は、これぐらいの距離を走るのは慣れているため、特に息を整える必要もありません。
ソフィアとサラがパーティに加わり、町の外で鍛錬を始めて5日が経ちました。私達がこれまで鍛錬してきた内容を聞くと、2人は少し驚いたようでしたが特に反対することはありませんでした。
ステータス
================
名前 エレノア
種族 人間
年齢 20
スキル
戦闘 短剣術☆0 ( 0.01 )
槌術★1 ( 0.30 )
盾術★1 ( 0.03 )
身体 体力強化★1 ( 0.50 ) △0.02
頑健強化★1 ( 0.73 )
筋力強化★1 ( 0.26 )
器用強化★1 ( 0.20 )
敏捷強化★1 ( 0.42 )
魔力強化★1 ( 0.37 )
魔抗強化★1 ( 0.14 )
特殊 料理★2 ( 0.23 )
調合☆0 ( 0.00 )
良否判定★1 ( 0.03 ) △0.02
真偽判定★1 ( 0.03 ) △0.02
気配希薄☆0 ( 0.68 )
解体☆0 ( 0.81 )
魔法威力☆0 ( 0.00 )
魔力回復速度向上★1 ( 0.53 )
魔力視☆0 ( 0.86 )
精密操作☆0 ( 0.00 )
魔法 生活魔法★1 ( 0.90 )
時空魔法★1 ( 0.29 ) △0.01
加護 生体掌握網 (スレーブ動作中)
成長促進 (スレーブ動作中)
================
「本当に驚くほど鍛えているわね」
ステータスを表示させて鍛錬の成果を確認していると、ソフィアが覗き込みながら話し掛けてきました。
「そんなことはありません。私はシオン様に買われてから鍛錬を始めたので、まだまだ強さが足らないと思います」
「それが本当に不思議なのよね。まだ鍛錬を始めて数か月? それでスキルがこの状態って、私が何年も鍛えてきたのが悲しくなるじゃない」
「ソフィアも数か月後には追いついていると思いますけど」
元々商人としての経験しかなかった私でさえ、普通に戦えるようになっているのです。冒険者として長い間過ごしてきた彼女ならば、すぐに追いついてくるでしょう。
「それについては否定しないわ。ステータスを見る度に驚いているもの」
ソフィアはそう言ってステータスを表示させました。
ステータス
================
名前 ソフィア
種族 人間
年齢 25
スキル
戦闘 剣術★1 ( 0.15 )
槍術☆0 ( 0.16 )
身体 体力強化★1 ( 0.18 ) △0.02
頑健強化☆0 ( 0.20 )
筋力強化☆0 ( 0.16 )
器用強化☆0 ( 0.16 )
敏捷強化★1 ( 0.17 )
魔抗強化☆0 ( 0.16 )
特殊 料理☆0 ( 0.00 )
気配希薄☆0 ( 0.00 )
解体☆0 ( 0.00 )
魔力視☆0 ( 0.16 )
遠見☆0 ( 0.12 )
魔法 生活魔法☆0 ( 0.16 )
加護 生体掌握網 (スレーブ動作中)
成長促進 (スレーブ動作中)
================
彼女も私と同じく、シオン様の能力で新たに多くのスキルを覚えた状態から始めました。だからそう遠くない将来に、私と同じような状態になるのは分かっています。
「本当に色んな意味で凄いわね。シオン君は」
「はい。私のご主人様ですから」
シオン様。私のご主人様は不思議な方です。
私はシオン様に買われて約10年の間、お仕えすることになりました。奴隷となる時にどんな方でも心からお仕えする覚悟でいました。それでも心の奥底では、主人となる人に期待をしていたと思います。
奴隷の待遇はそれなりに保護されていますが、選り好みしていると自分の首を絞めます。最初、冒険者の主人ということで、戦闘経験の無い私で大丈夫なのかと不安にもなりましたが、気付いたら手を上げていました。
初めて逢ったシオン様は、驚くほど容姿が整った方で、とても冒険者には見えませんでした。そして後から年齢が16歳と知り、更に驚きました。16歳の子は、成人して1年しか経っていないので、もっと子供っぽい子が多いですから。それに、えっと、女性にも慣れている感じでした。
冒険者の仕事というよりは自分を鍛えることに、並々ならぬ意欲を持っているご主人様で、そんな姿を見るのを好ましく思います。まさかシオン様の能力で自分まで冒険者として活動できるようになるとは思いませんでしたが。
あまり奴隷を奴隷っぽく扱わないところ、私の事を大事にしてくれているところ、考えたら色々出てきそうですが、シオン様の色々な面が私を魅了してやみません。
出来れば私はシオン様の……、いえ、今の奴隷の私が考えることではありませんね。私は出来れば契約期間が終了してもシオン様の傍でお仕えしたいと思っていますが、それを決めるのは……
「エレノア。そろそろ稽古を始めないか?」
リリーが木剣と盾を持って誘ってきました。
「はい。いつでも構いません」
「リリー。私も混ざってもいいかしら?」
「もちろんだ。色んな武器が相手で楽しめる」
ソフィアの参戦表明にリリーが笑顔で答えました。凄く魅力的な笑顔ですけど、リリーがこんな表情を見せるのが戦う時だけというのは勿体ない気もしますね。
「時空魔法の熟練度が上がると同じように出来るとは思うが」
武器での稽古が終わった後は、シオン様と一緒に時空魔法の鍛錬を行っています。転移について教わっていますが、私の時空魔法は★1なので何も発動しません。以前戦闘中にシオン様が使われた短距離転移ではなく、転移させるのは石ですが。
「魔力が消費されている感じはするんだよな?」
「はい。消費される感覚はあります」
魔法が発動することはないですが、確かに消費されているのは分かります。昔ならこんなこと分からなかったと思いますが、今は生活魔法が使えるので魔力を消費するのが分かります。
「それなら問題ないな。★2になれば普通に出来るようになるから頑張ってくれ」
「はい」
シオン様は静かに集中すると、いきなり目の前から消えて、少し先に姿を現しました。これが以前使われた短距離転移なんですね。あの時は戦闘中だったのもあって、しっかり見ていなかったのですが、凄く不思議な魔法です。
これと同じ事をいずれ私が出来るのでしょうか。まったく自信がありません。それでもシオン様は私が出来ることに何の疑念も抱いておられません。
私はシオン様を信じています。進まれる道を信じて付いて行くだけです。これからもずっと。
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