第17話 パーティ情報共有(1)
ソフィアとサラがパーティに加わることになったが、まずは確認と言うか説明もしないといけないから場所を移動したほうが良いだろう。
「2人をパーティに加えるに当たって、少し込み入った話をしたいから場所を移動してもいいか?」
「ええ、構わないわよ」
「問題ない」
「ありがとう。じゃあ俺達が泊ってる宿屋に行こうか」
ステータスの話をするには外より部屋の中が良さそうだ。
「ちょうどいいわね。私達も同じ宿屋に移動することにするわ」
「荷物を持ってくる」
「分かった。先に2人の荷物の回収からだな」
2人は宿屋を変わるようなので、先に荷物を回収に向かった。
「それでどんな話が有るのかしら」
俺達の部屋に入って全員が適当に座ると、ソフィアが切り出してきた。
「俺達のパーティの根幹と言うか、あんまり公には出来ないことで、これに関してはソフィアとサラも外では話さないでほしい」
ソフィアとサラを交互に見ながら伝えた。
「それは、このパーティが貴方のハーレムパーティだって言うような軽い内容では無さそうね?」
ソフィアが少し考えながら聞いてきた。
「そうだな。そういう話であれば他に聞かれても問題ないんだが。まあ別に喧伝したい内容ではないけどな。これから話す内容は、パーティ内だけの秘匿情報だ。安易にパーティメンバーを増やせない理由の1つだな。そういう意味では2人を信用して話すことにしたとも言える」
「あら。それは嬉しいわね」
「うん」
ソフィアは微笑みながら言った。サラは笑ってはいないが、ソフィアの言った内容に頷いたので嬉しい気持ちは一緒みたいだ。そういえばサラが表情を動かしているところをあまり見ないな。前に3人が亡くなった時も、泣き顔を見せないようにしてたし。
「冒険者ギルドや教会で自分のスキルが調べられることは知っているよな?」
「ええ。パーティメンバーの誰かが戦闘スキルを持っていないと、魔物討伐の依頼は受けられないから調べるわよね」
「ああ。それと同じことが出来るスキルを俺は持っている」
「へ~、それは便利ね。でもそれだけだと別に秘匿するほどの情報では無さそうだけど」
「まあそれだけだとその通りなんだが。そこから先の話をするためには見てもらうのが早いな。そのスキルはパーティメンバー全員に効果を及ぼすことが出来る。そのための登録を2人にもするから受けてくれるか?」
「よく分からないけど受けるわ」
「私も」
「よし。じゃあ早速登録する」
2人の肩に手を置いて、生体情報にリンクするように意識する。
「あ…」
「何これ」
2人は生体情報がリンクした時の感触に驚いたようだ。
「登録は終わった。2人ともこれを見てくれ」
俺は目の前にステータスを表示させた。リンクさせた2人にはステータスが見えているはずだ。
「これは俺のスキル情報を表示させている。これをステータスと言っている。今なら2人にも同じことができるはずだ。頭の中でステータスを表示すると思い浮かべてくれ」
2人は俺のステータスを見詰めながら思い浮かべているようだ。すぐに2人の前にステータスが表示された。
ステータス
================
名前 ソフィア
種族 人間
年齢 25
スキル
戦闘 剣術★1 ( 0.15 )
身体 体力強化★1 ( 0.08 )
敏捷強化★1 ( 0.05 )
特殊
魔法
加護 生体掌握網 (スレーブ動作中)
成長促進 (スレーブ動作中)
================
ステータス
================
名前 サラ
種族 人間
年齢 25
スキル
戦闘
身体 体力強化★1 ( 0.03 )
頑健強化★1 ( 0.22 )
特殊
魔法 生活魔法★1 ( 0.45 )
回復魔法★1 ( 0.34 )
加護 生体掌握網 (スレーブ動作中)
成長促進 (スレーブ動作中)
================
さすが長年冒険者をしていただけある。ちゃんと★1になっているスキルを持っている。しかし逆に言えば、長年やっていてもスキルの熟練度はこれだけしか上がっていないとも言えるか。
「ん?」
「どうかしたの?」
「いや大したことではないんだが、サラのステータス表示がおかしい」
「私の?」
「何かおかしいところがあるかしら?」
「年齢が25になっている。サラって10代前半だよな?」
「!?……」
「ぷっ。くくくっ」
ソフィアは何が面白いのか、後ろを向いて肩を震わせながら笑っている。
「……シオン。物凄く失礼……」
サラが俺を睨みながら呟いた。
「えっ。なんで?」
「ふふふっ。シオン君。サラはこんな可愛らしい容姿をしているけど、私と同い年よ」
「はっ?」
同い年??? サラの容姿はロマナで出会ったリーネと大差ないんだが。
「そう。私は間違いなく25歳」
サラはご機嫌斜めな様子で主張した。
「サラのお母さんがまだ生きていた頃に聞いたらしいんだけど、なんでもお祖母さんがドワーフ族だったらしいのよね。たぶんその血が受け継がれているんじゃないかしら。詳しいことは分からないけど、いつまでも容姿が変わらないから皆不思議がっていたのよ」
代わりにソフィアが原因だろうと思われることを説明してくれた。なるほど。ドワーフ族か。
「サラのお母さんも同じような容姿だったのか?」
「それが違うらしいのよ」
「お母さんは普通だった」
隔世遺伝というやつか。親が普通だったらそれは予想できないよな。
「あー、悪かった。別に悪気があって言ったわけじゃない。謝る」
「いい。慣れてる」
サラは一度深呼吸してから答えた。
「大丈夫よ、サラ。これまではその容姿のせいで、無礼な男ばっかりだったけど、シオン君は私達を受け入れてくれたんだから。しっかり甘えていいのよ」
ソフィアが悪戯っぽく笑いながらサラに話した。
「今はまだ分からない。でも期待している」
少し考えてからサラが答えた。
「えー。すまなかった。別に年齢がどうとか気にした訳じゃないんだ。ただ、表記間違いが有る可能性に驚いただけで。それでだ。話が変に逸れてしまったが続けても大丈夫だろうか?」
「ええ、いいわよ」
「問題ない」
ちょっと予想外な内容に説明が途切れてしまったが、さっさと続きを進めてしまおう。重要なのは年齢じゃなくスキルの話だからな。
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