第6話 ネオンダンジョン(5)
昨日は寝る時間になるまで賑やかにソフィア達5人と話した。正確には女性5人の話を聞きながら、俺達は夕食を食べたと言ったほうが正解かもしれない。でも悪い気分じゃない。差し入れも多く出してくれたし、気持ちの良い5人だから一緒に過ごしても苦にはならなかった。
そんな昨日の事を思い出しながら全員のステータスを確認していると、エレノアのスキルが上がっていることに気付いた。
ステータス
================
名前 エレノア
種族 人間
年齢 20
スキル
戦闘 短剣術☆0 ( 0.01 )
槌術★1 ( 0.05 ) △0.03
盾術☆0 ( 0.70 ) △0.04
身体 体力強化★1 ( 0.29 ) △0.02
頑健強化★1 ( 0.34 )
筋力強化★1 ( 0.07 ) △0.03
器用強化★1 ( 0.01 ) △0.03
敏捷強化★1 ( 0.15 ) △0.03
魔力強化★1 ( 0.16 ) △0.01
魔抗強化☆0 ( 0.90 )
特殊 料理★2 ( 0.23 )
調合☆0 ( 0.00 )
良否判定☆0 ( 0.89 ) △0.02
真偽判定☆0 ( 0.89 ) △0.02
気配希薄☆0 ( 0.62 ) △0.01
解体☆0 ( 0.81 )
魔法威力☆0 ( 0.00 )
魔力回復速度向上★1 ( 0.32 ) △0.01
魔力視☆0 ( 0.72 )
魔法 生活魔法★1 ( 0.51 ) △0.04
時空魔法★1 ( 0.01 ) △0.02
加護 生体掌握網 (スレーブ動作中)
成長促進 (スレーブ動作中)
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「エレノア。器用強化と時空魔法が★1に上がったんだな」
「はい。器用強化は戦闘中に上がって、急に武器の扱いが楽になりました。時空魔法の方は10階層に戻る途中で知らせの音が鳴りました」
「以前に教えたクイックとスローが使えるようになってるはずだから、もし必要と思ったら使ってみてくれ」
「はい。分かりました」
◇ ◇ ◇
昨日に引き続き13階層に到着した。
もう少し12階層で活動してくれるパーティが増えてくれると時間短縮できるのだが、現状は11階層に集中していて、通り道にオークの集団が多く残っている。他のパーティのネックになっているのはなんだろうな。上位種と数の多さに対応できないということか? そういえばソフィア達のパーティも少ない数を狙って倒してるみたいだったし。この前は戦闘中に別の集団が合流してしまって危なくなっていたらしい。
俺達は先制攻撃で数の不利は回避することが多いし、オークリーダーは今では鍛錬相手にソロで相手しているからな。
13階層に入ってすぐにオークの集団がいた。気配感知で探すまでも無かった。
「フォノン、数を減らすぞ。リリー、オークジェネラルは任せた」
「はい」
「了解だ」
急いで魔法の準備をしていると、頭の中でピコンっと音がなった。何かスキルが上がったが今はいい。こちらに向かってきているオークの集団に魔法を撃った。
「⦅カッター⦆」
「エアーカッター」
準備する時間が若干少なかったと思った魔法だが、通常のオークには十分な威力を発揮した。手や足をズタズタに斬り裂き、大半のオークを戦闘不能にした。
先行してオークジェネラルに挑んでいったリリーに続いて、エレノアと共にオークリーダーとオークを迎え撃ちにいく。エレノアが1体のオークリーダーと相対したのを横目に見て、もう1体のオークリーダーに向かおうとしたのだが、俺が駆け寄るより先に、魔法の火槍が敵の腹に突き刺さって燃やした。フォノンの火魔法は本当に攻撃速度が速いな。
俺の相手がいなくなったので、先制の魔法攻撃を浴びて動きの鈍っているオークに、順次トドメを刺して回った。
エレノアの相手はもう時間の問題なので、リリーの戦闘を観察することにした。
さすがにリリーもハルバートの攻撃範囲には手を焼いているみたいで、敵の懐に入り込むのに苦労していた。あの武器なかなかに曲者なんだよな。技術だけじゃなく、それなりに腕力がないと扱いきれない武器じゃないかな。それを考えるとやはり武器を扱うのに腕力の占める割合というのは大きいと感じる。その点は、俺達前衛は筋力強化スキルを覚えているので、今後更に熟練度が上がれば、より恩恵を受けていくだろう。
リリーは俺と違い、盾を持っていることを最大限に活かして懐に入り込んだ。その際には強烈な突きが襲ってきたが盾で全て凌いでみせた。懐に入ってからは俺みたいな一撃に賭けるみたいなことはせずに、的確に斬り裂いていく。オークジェネラルは懐に入られてからは精彩を欠き、力強い攻撃は影を潜めた。なるほど。これが長柄の武器の弱点だな。と言っても、普通に弱い冒険者が懐に入っても力で吹き飛ばされると思うけどな。
時間は掛かったが別に危険な場面もなく、リリーはオークジェネラルを倒しきった。
「これは鍛錬には良い相手だぞ、主殿」
気分を良くしたリリーが嬉しそうに言った。
「確かにそうだな。この階層には多くいるみたいだから、また順番に回して鍛えることにしようか」
「ああ、それがいい。あ、それからこれがドロップアイテムだ」
リリーが出したのは大きなダイヤモンド?だ。ダイヤモンドだよな? 俺はあんまり詳しくはないんだけど、かなり大きいな。
「このダイヤモンド大きいですね。かなりの額で取引されると思います」
横から覗いたエレノアが少し驚いた声で言った。
だよな。これまでドロップした宝石に比べてかなり大きい。俺はこれまでの標準的な大きさばかりドロップするものだと思ってたんだけど、大きさが決まっているわけではないんだな。
「ほう。そうなのか」
拾ってきた本人はあんまり関心は無さそうだ。良い鍛錬相手ぐらいしか興味はないのだろう。
13階層の敵は、5回に1回はオークジェネラルが混じった集団と遭遇する感じだ。その他は必ずオークリーダーは混ざっている。中にはオークリーダーが4体だけの集団というのもいた。ダンジョン以外では考えられない構成だ。
そうして探索しているとまた頭にピコンっと知らせる音が鳴った。さっきは戦闘中だから放置していたが、今は近くに敵もいないので確認してみる。
ステータス
================
名前 シオン
種族 人間
年齢 16
スキル
戦闘 短剣術☆0 ( 0.64 )
剣術★2 ( 0.25 ) △0.01
大剣術★1 ( 0.79 ) △0.02
盾術☆0 ( 0.35 )
身体 体力強化★2 ( 0.04 ) △0.01
頑健強化★1 ( 0.05 )
筋力強化★2 ( 0.71 ) △0.01
器用強化★1 ( 0.84 ) △0.02
敏捷強化★2 ( 0.09 ) △0.02
魔力強化☆0 ( 0.33 )
魔抗強化☆0 ( 0.01 )
特殊 気配感知★3 ( 0.00 ) △0.02
気配希薄★1 ( 0.14 ) △0.01
解体★2 ( 0.15 )
並列思考★2 ( 0.33 ) △0.01
魔法威力★1 ( 0.00 ) △0.02
魔力回復速度向上☆0 ( 0.66 ) △0.01
魔力視☆0 ( 0.01 )
命中精度★1 ( 0.30 ) △0.02
遠見☆0 ( 0.25 )
魔法 生活魔法★2 ( 0.79 )
土魔法★1 ( 0.81 )
水魔法★1 ( 0.66 )
火魔法★1 ( 0.70 ) △0.01
風魔法★1 ( 0.92 ) △0.02
氷魔法☆0 ( 0.72 )
雷魔法☆0 ( 0.66 )
回復魔法★1 ( 0.47 )
時空魔法★2 ( 0.41 ) △0.01
加護 転移ランダム特典 金一封
転移特典 言語理解
転生ランダム特典 生体掌握網
転生特典 成長促進
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さっき戦闘中に上がったのが魔法威力で、今上がったのが気配感知か。
気配感知は俺が持っているスキルの中で一番スキルレベルが高い。これで感知範囲も広がったはずだが、外と違いダンジョン内は少し制限されている感じだ。十分役立っているのだが、外での範囲と比べると半分近くになっている。
暫く13階層で戦った後に、14階層に降りる階段に到着した。
「少し14階層でも戦ってみるか」
「ああ、確認は必要だと思う」
「どんな感じでしょうね?」
フォノンが階段を覗き見しながら聞いてきた。
「15階層まではオークエリアみたいだから、そこまで変化は無いと思うぞ」
「上位種の変化はあるんでしょうか」
エレノアが考え込んで呟いた。
「そうだな。そこは注意しないといけないかもな」
話はそこまでにして皆で階段を降りて行った。
14階層だからといって通路は別に変化は無い。そして冒険者パーティもほとんどいないのだろう。すぐに気配感知に反応が有った。
「敵の反応が有った。オークジェネラルとオークリーダーがいる集団なのは確定だ。それ以外に2体ほど初めての気配がある。オークジェネラルほど反応が強くないから、強敵というわけではないみたいだ」
「それなら大丈夫か。今度のオークジェネラルの担当は私か。魔法の先制攻撃はするんだろう?」
「ああ、数は削る」
「分かりました。他の上位種に対応いたします」
「私はどんどん魔法で倒していきますね!」
皆の方針が決まったので先に進むことにした。
魔法の準備をしながら進んでいると、オーク15体の集団が見えてきた。
「⦅カッター⦆」
「エアーカッター」
すぐに魔法を撃ち数を削っていく。当然上位種は魔法に反応して防御態勢で防いでいるが…… 後ろの2体を庇っている? 前にもあったな。もしかして新たな上位種はメイジか?
俺の想像の答え合わせをするように、こちらに火の固まりが飛んできて、弾けて火をまき散らした。直撃こそしなかったが、皮膚が引きつるような感じがしているので火傷しているのかもしれない。どうやらリリーとエレノアが盾でカバーしてくれたみたいだ。二人はすぐさま上位種を相手にするべく駆けていった。
「フォノン、オークメイジを先に潰せ」
「はい」
フォノンに指示しつつ、自分も魔法の準備を始める。
そんな俺よりも早く、フォノンは魔法を放った。
「ファイアランス」
フォノンの撃った火槍は、集団の後ろに控えていたオークメイジ2体のうちの1体の腹を吹き飛ばした。かなり魔力を込めたな。
「⦅バレット⦆」
続けて撃った俺の魔法は、残りのオークメイジ1体の顔を破壊して倒した。
メイジ2体が倒れたのを確認した俺は、1人で2体のオークリーダーを相手にしているエレノアの加勢にいくために駆けていった。
オークメイジを倒した後は特に危険もなく、オークリーダーとオークを倒したあとは、リリーの戦闘を見守る鑑賞会となった。
「さすがに上位種のメイジは、魔法の威力もそこそこありそうだな」
全員にヒールを掛けながら、オークメイジの魔法を思い出して言った。
「死ぬことはないと思うが、直撃したら大怪我しそうだったな」
リリーも同意見のようだ。
「そういえば、リリーとエレノア、魔法防いでくれて助かった」
「はい。役目を果たせてほっと致しました」
エレノアが笑顔で言った。
「まあ、なんとか反応できたな」
リリーも頷いた。
「それとまたドロップアイテム有ったぞ」
そう言ってリリーが取り出したのは大きなダイヤモンドだった。それもこれピンクダイヤモンドか!
「これもまた良い値段がつきそうな大きなダイヤモンドですね」
エレノアが同じように驚いて言った。
なんかリリーが拾ってくる宝石は破格なものが多くないか? もしかして強運の持ち主とか。いやでも、そんなヤツが奴隷になるはずないし。
「今日はここまでにして10階層に戻るか」
「「「はい(了解)」」」
できれば明日か明後日には15階層を攻略して、一度町に戻りたいな。あまりドロップアイテムを貯め込んで、また受付嬢の怨みを買いたくない。
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