第24話 樹海探索(2)
「初めての樹海の探索はどうだった?」
「そうですね。魔物の多さに驚きました」
「ですよね。少し歩くと魔物に出会った感じがします」
「さすが魔力溜まりの地というところか」
朝食を食べながら昨日の樹海探索について話している。
昨日、探索から戻った後は疲れもあるだろうし、特に話すこともせず、夕食を食べてからすぐに就寝した。
「ゴブリンなら上位種が混ざろうが数が多かろうが、何とかなりそうな感じはしたな」
こんなことを言っているとゴブリンの更に上位種が出てきたりするフラグが立ちそうな気もしないでもないが、それは抜きにして、現状では問題ないと思っている。
「そうだな。ゴブリンであれば私とエレノアが前衛として壁になることが出来る」
「そうですね。私もゴブリンなら何とか出来ると思います」
「問題はオークの数が多い場合か」
昨日も俺とリリーで前衛に立てば2体は問題無かった。だが、果たしてそれ以上になった時に対処できるかだな。
「主殿、昨日も発見はこちらが早かったし、先制で2人の魔法で数を減らすことはできないか?」
「!! そうだな」
初めてのオークの迫力に冷静さが無くなっていたかもしれないな。自分では落ち着いているつもりでいたんだが。数を減らすことも出来るかもしれないし、範囲で撃てば傷を負わせて動きを鈍らせることも出来る。
「リリー、ありがとう。視野が狭くなっていたな」
「そんなことはない。私がたまたま気付いただけだ」
「シオン様。すみません。私が前衛に立てるだけの力があれば」
「エレノアはすぐに自分を責めるのは悪いクセだ。今でも十分だし、今の鍛錬を続ければ問題無くなるぞ」
「主殿の言う通りだ。私とエレノアの違いは、私が騎士として早くに鍛えていたからだけだ」
「そうですよ。私だって主さまの奴隷になって、鍛え始めたばかりでまだまだなんですから」
「ありがとうございます。シオン様。2人も」
エレノアはちゃんとフォローしないと、すぐ何でも責任を感じてしまうからな。
「オークは発見したら、まずは俺とフォノンの魔法で攻撃することから始めるか」
「任せてください。主さま」
「ああ、頼む。ただ、やっぱり不意打ちや突発で何か起こることも考えておきたい気持ちもあるんだが、頑健強化と魔抗強化を鍛えることで事故は起き難くなるか?」
「不意の攻撃でもその2つのスキルが育っていれば十分に効果はあると思う。防具をしっかり着ていることも重要だけどな」
「となると、やっぱり早くその2つを鍛えないとな」
俺のことは仕方ない。とりあえず3人のスキル上げに尽力するか。
魔法鍛錬の後、頑健強化と魔抗強化を上げるために3人にウィンドボールを撃っている最中に、ピコンっと頭に音がなった。これはあれだな。並列思考が★2になったのだろう。ウィンドボールを3つ準備するのがスムーズになった。これは探索時にも魔法を複数撃つのが楽になるはずだ。
鍛錬が終わった後に3人のステータスを確認した。
ステータス
================
名前 エレノア
種族 人間
年齢 20
スキル
戦闘 短剣術☆0 ( 0.01 )
槌術☆0 ( 0.37 )
盾術☆0 ( 0.37 )
身体 体力強化☆0 ( 0.67 ) △0.01
頑健強化☆0 ( 0.53 ) △0.05
筋力強化☆0 ( 0.61 ) △0.01
器用強化☆0 ( 0.45 )
敏捷強化☆0 ( 0.57 )
魔力強化☆0 ( 0.72 ) △0.02
魔抗強化☆0 ( 0.14 ) △0.04
特殊 料理★2 ( 0.19 )
調合☆0 ( 0.00 )
良否判定☆0 ( 0.45 )
真偽判定☆0 ( 0.45 )
気配希薄☆0 ( 0.29 )
解体☆0 ( 0.59 )
魔法威力☆0 ( 0.00 )
魔力回復速度向上☆0 ( 0.82 ) △0.03
魔力視☆0 ( 0.14 ) △0.04
魔法 生活魔法☆0 ( 0.71 ) △0.03
時空魔法☆0 ( 0.55 ) △0.02
加護 生体掌握網 (スレーブ動作中)
成長促進 (スレーブ動作中)
================
ステータス
================
名前 フォノン
種族 獣人 (狐系)
年齢 16
スキル
戦闘
身体 体力強化☆0 ( 0.50 ) △0.01
頑健強化☆0 ( 0.58 ) △0.05
器用強化☆0 ( 0.20 )
魔力強化☆0 ( 0.66 ) △0.05
魔抗強化☆0 ( 0.18 ) △0.05
特殊 気配希薄☆0 ( 0.11 )
解体☆0 ( 0.26 )
並列思考☆0 ( 0.11 ) △0.04
魔法威力☆0 ( 0.68 ) △0.03
命中精度☆0 ( 0.69 ) △0.03
魔力回復速度向上☆0 ( 0.86 ) △0.05
魔力視☆0 ( 0.18 ) △0.05
魔法 生活魔法☆0 ( 0.31 ) △0.02
火魔法★1 ( 0.58 ) △0.02
風魔法☆0 ( 0.31 ) △0.04
氷魔法☆0 ( 0.24 ) △0.03
加護 生体掌握網 (スレーブ動作中)
成長促進 (スレーブ動作中)
火神の祝福
================
ステータス
================
名前 ミナサリアリリー・ルイーゼ・ファラダム
種族 人間
年齢 17
スキル
戦闘 短剣術☆0 ( 0.00 )
剣術★1 ( 0.48 )
大剣術☆0 ( 0.00 )
槌術☆0 ( 0.00 )
盾術★1 ( 0.59 )
身体 体力強化★1 ( 0.28 ) △0.01
頑健強化☆0 ( 0.20 ) △0.06
筋力強化★1 ( 0.17 ) △0.01
器用強化☆0 ( 0.12 )
敏捷強化☆0 ( 0.15 )
魔抗強化☆0 ( 0.15 ) △0.04
特殊 気配感知☆0 ( 0.09 )
気配希薄☆0 ( 0.06 )
解体☆0 ( 0.03 )
魔力視☆0 ( 0.13 ) △0.04
遠見☆0 ( 0.01 )
魔法 生活魔法☆0 ( 0.11 ) △0.03
加護 生体掌握網 (スレーブ動作中)
成長促進 (スレーブ動作中)
================
エレノアとフォノンの2人は、以前から平原ウサギ先生に鍛えられていたから頑健強化については残り半分ぐらいになっているが、それでも★1にはまだまだ先だな。リリーに関してはパーティに入るのが遅かったから、追加で取得したスキルについては今回の野営では無理そうだ。
そうなると気配感知で敵を早く捕捉するのが重要だな。この魔力溜まりの樹海では魔物が多いので、敵の接近には常に気を付けよう。
どの方向に進むとかは分からないが、とりあえず奥に進んでいる。昨日と同じだが。ここまで広いと昨日と同じ方向に進んでいるかはよく分からない。
そんなことは関係なく浅瀬からゴブリンにはよく遭遇している。上位種が居ない集団ばかりなので、最初にカッターで傷を負わせると面白いように慌てふためき、その間に全員で攻撃したら戦闘はすぐ終る。
昨日も思ったが、ゴブリンとオークは大まかに棲み分けているのかもしれない。ある範囲に入るとゴブリンの出現が減ってくる。たぶん昨日オークと遭遇したぐらいの奥に来ていると思うが、ゴブリンの反応が無くなった。そしてこの先にオークと思われる反応が3体いる。
「この先にオーク3体がいる。たぶんだが」
「分かりました」
「(ぶんぶん)」
「分かった」
他の2人はいいとして、フォノンはそれ気合を入れているのか・・・
「俺とフォノンで先制するから、撃ち漏らしたらフォローを頼む」
「お任せください」
「了解した」
なるべく気配を殺して全員で近づいていく。前方に見えたのは3体が歩いている姿だ。
「俺が左と真ん中。フォノンが右だ」
「はい」
土魔法の2つの石に魔力を込めていく。しっかりと魔力を込め終ってフォノンを見ると頷いてきた。俺も頷き返す。
「⦅バレット⦆」
「ファイアランス」
3つの魔法がオークに突き刺さる。
俺が撃ったバレットは真ん中の1体の頭を粉砕して、もう1体は右腕を吹き飛ばした。フォノンのファイアランスは1体の腹に突き刺さった。
1体は倒したが残り2体はまだ生き残っている。フォノンの攻撃を腹に受けた1体は膝をついてほぼ虫の息だが、右腕を無くした1体はまだ元気がある。
「グォ~~~」
その1体がいきなり大声で叫んだ。このパターンなんか見た覚えがあるぞ。
元気な1体にはすぐにリリーが駆け寄る。もう1体にはエレノアが行った。
嫌な予感がして気配感知に集中していると、オーク4体が接近しているのが分かった。
「追加で4体接近してくる。迎え撃つからフォノンもフォロー頼む」
「はい」
接近してくる方向に身構えて、急いで魔力を込めていく。範囲を広げてなるべく威力を上げることをイメージする。
4体が姿を見せたところで魔法を発動した。
「吹き飛べ。ウィンドボール」
魔法の範囲に入っていた2体は文字通り吹っ飛んでいった。だが、2体は何の影響もなく突っ込んでくる。2体を迎え撃つべく身構える。そこへエレノアが駆け付けて並んだ。
「シオン様、1体はお任せください」
大丈夫か? だが考えている時間がない。
「任せた」
棍棒を叩き込んできた1体を引き受けて、躱しざまに大剣で足を狙ったが浅く斬っただけに終わった。
「うぐぅ」
隣の方から聞こえたエレノアの苦痛の声にそちらを見ると、左手で殴られて吹き飛ばされているエレノアの姿だった。幸い盾で受けたようだが、オークが迫っている。
「ファイアアロー」
フォノンの撃った魔法がオークの顔に直撃した。オークは苦痛に顔を押さえてしゃがみ込んだ。何とかフォノンの攻撃が間に合ったようだ。
「遅れた。こっちは任せてくれ」
リリーも駆け付けたのを見て、安心してそちらは任せることにした。
俺は自分の受け持ったオークに集中した。
振り回してくる棍棒を注意深く回避して、左足を集中的に攻撃した。3回目の攻撃が左足を斬り裂くと、たまらずオークは膝を地面につけた。俺は好機と見て、飛び上がりながら大剣をオークの頭に叩き込んだ。オークはそのまま地面に倒れ込んで死んだ。
急いでエレノアに駆け寄った。
「エレノア、怪我は?」
「いえ、体を少し打ったぐらいで大きな怪我はありません」
一応念のため、エレノアにヒールをして回復した。
それから全体を確認すると、オークは無事全滅しているようだった。一旦オークは全てマジックバッグに収納して、オークのテリトリーだと思われる範囲から離れることにした。
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