第12話 フォノンの鍛錬(1)


ベッドから出る前にステータスを表示して、魔力回復速度向上を取得することにした。少しは熟練度も貯まるだろうし。魔力強化よりは★1になるのは早いかもだな。



◎取得可能スキルリスト

 魔力回復速度向上



これを取得しようと思ったのはいいが、これは何だ?



◎取得可能魔法リスト

 雷魔法



はっ? 何時雷魔法が取れるようなフラグ立てたんだ?

・・・

・・

だめだ。さっぱり分からない。雷魔法を取ろうとして色々考えて取れなかったのに、何で知らない間に取れてるんだ。

・・・まあいいか。とりあえず取得しよう。



ステータス

================


名前  シオン

種族  人間

年齢  16


スキル

 戦闘 短剣術☆0 ( 0.64 )

    剣術★1 ( 0.84 )

    大剣術★1 ( 0.17 )

    盾術☆0 ( 0.27 )


 身体 体力強化★1 ( 0.60 )

    頑健強化☆0 ( 0.79 )

    筋力強化★2 ( 0.10 )

    器用強化★1 ( 0.20 )

    敏捷強化★1 ( 0.61 )

    魔力強化☆0 ( 0.04 ) △0.04


 特殊 気配感知★2 ( 0.29 ) △0.03

    気配希薄☆0 ( 0.73 ) △0.02

    解体★2 ( 0.00 )

    並列思考★1 ( 0.61 ) △0.16

    魔法威力☆0 ( 0.11 ) △0.06

    魔力回復速度向上☆0 ( 0.05 ) △0.05

    命中精度☆0 ( 0.14 )

    遠見☆0 ( 0.05 )


魔法  生活魔法★2 ( 0.54 ) △0.01

    土魔法★1 ( 0.13 )

    水魔法★1 ( 0.09 )

    火魔法★1 ( 0.09 )

    風魔法★1 ( 0.10 )

    氷魔法☆0 ( 0.09 )

    雷魔法☆0 ( 0.01 ) △0.01

    回復魔法☆0 ( 0.86 ) △0.30

    時空魔法★1 ( 0.54 ) △0.05


加護  転移ランダム特典 金一封

    転移特典     言語理解

    転生ランダム特典 生体掌握網

    転生特典     成長促進  


================



念のため、エレノアとフォノンが雷魔法が取得できるか確認したがリストに出てこなかった。

それにしても並列思考と回復魔法の伸びが尋常じゃない。それだけ無茶を押し通しているんだろうが、フォノンの怪我を治すためだから問題ない。



朝食は部屋に運んでもらった。食事を食べながら、エレノアがせっせとフォノンの世話を焼いてるのを見て、フォノンの鍛錬について考えている。

フォノンのステータスの内容を考えると、どう見ても後衛の魔法使いの位置だよな。怪我が完治するまでは、走るのも止めておいた方が良さそうだ。バランスが悪いからな。当面は休憩を交えつつ、生活魔法と属性魔法を鍛える感じだな。何か防衛手段を考えて、フォノンにも定番の平原ウサギ狩りで鍛錬させたいな。初期に鍛えるのに最適だからな、平原ウサギ。


朝食を食べ終わったところで、鍛錬のことばかり考えてフォノンの身の回りの買い物を済ませてなかったことに気付いた。


「今日の予定を少し変更しようと思う」


「シオン様、何か問題がありましたか?」


「ああ、すっかり忘れていたんだが、フォノンの着替えや身の回りの物を買いたいと思う」


「主さま、服は今着ているので大丈夫ですよ?」


「それだけだと着替えに困るだろう。エレノアにも言ってあるんだが、奴隷だからって遠慮は止めてくれ。他がどうとかは知らないが、俺の場合は必要な物だったら遠慮なく言ってほしいと思っている。難しいことを言っているかもしれないけどな」


「はい。ありがとうございます」


「エレノア、必要そうな物をフォノンと一緒に考えてくれ。それと個人の荷物用にやっぱりマジックバッグが便利か?」


「そうですね。便利か便利でないかで言えばマジックバッグを持っていた方が便利です」


いい感じにエレノアも意見を言ってくれるようになってきたな。少し前だと奴隷に持たせるなっていいそうだったが。いや、今でも言いそうではあるか。


「私物用なら、エレノアに買ったのより更に少ない容量のマジックバッグを買うか」


「分かりました。シオン様」


「後は武具と防具だが、これは怪我が完治してから考えよう」


王都には来たばかりで場所が分からないので、店の人にだいたいの場所を書いてもらった。大通りから何本目の道のこの辺り~、みたいなかなり大雑把な書き方だが、無いよりいいだろう。



エレノアが持っているウェストポーチ型のマジックバッグを2つ買ってから、必要な物を買っては収納している。マジックバッグはどうせ10日後に1人増えるのだし余分に買っておいた。

今回はフォノンの買い物だけで済んでいるので、意外に時間は掛からなかった。ほとんどは2人でどれがいいか話し合ってから俺に確認に来るので、許可を出すだけでいい。


それにしても、ロマナで稼いでる時は収支がプラスになっていたのに、あっという間にどんどん無くなってきたな。冒険者ギルドに行ったら依頼をよく見てみるか。



到着した冒険者ギルドは、さすがに王都だと思わせる大きさだった。ロマナやサルビナにも食事処というか酒場というか憩いの場が併設されていたが、こちらは大人数を収納できる広さになっている。朝一は過ぎたはずのギルドには、まだまだテーブルに多くの人が座っている。パーティの人待ちとかなのか?


「エレノア、フォノンの冒険者登録を任せてもいいか?」


フォノンに話を聞いたところ読み書きはダメらしい。出身の村では特に必要になる場面も少なかったようだ。


「はい。それは構いませんが、シオン様は何かされるのですか?」


「王都にいる間に、何か良い依頼がないか掲示板を見ておきたい」


壁沿いに張り付けてある掲示板を示しながら言った。


「分かりました。登録が終わりましたらそちらに向かいます」


「ああ、そうだ。フォノンをパーティメンバーに加えるのも頼んでいいか」


キューブを渡しながらエレノアに頼む。


「はい、お預かりいたします」



常時依頼にはやっぱりロマナと一緒でゴブリンやオークが載っているな。どんだけ繁殖力旺盛なんだ。いや、この世界のゴブリンやオークは繁殖しているわけじゃないから少し違うか。魔力の澱みから発生しているらしいからな。常時依頼にしてまで推奨しているんだから、過去には大きな問題があった可能性がありそうだな、スタンピードとかか?



「シオン様。登録終わりました」


いつの間にかエレノアとフォノンがすぐ傍まで来ていた。エレノアは俺にキューブを渡しながら報告してきた。


「これでフォノンもいつでも町の外に出られるな」


「はい。私も冒険者です」


フォノンはこちらにキューブを見せながら言った。


「それで、何か良い依頼はありましたか?」


「そうだな。今後の予定は決めた。フォノンの怪我が治るまでは外で鍛錬を行う。怪我が治ったら3日間ほど平原ウサギを狩って、残りの日数でグラスウルフと大猪を狙うことにした」


「グラスウルフはともかく大猪は探すのが大変そうですね」


エレノアが少し考えながら言った。


「やっぱり大猪は見つけるのが難しいのか。でも俺の場合、気配感知が役立ってくれそうな気がするんだがな」


「そうですね。スキルがあると早いかもしれません」


狩れるかどうかはやってみないと分からないな。


「フォノンも怪我が治るまでは魔法だけだが、その後は体力を鍛えるために走ったりするが平気か?」


「はい、獣人は身体能力が優れてますので期待してください」


「そうか」


獣人は身体能力が優れているのはイメージ通りだな。しかし個人差で強化スキルは取れなかったりするんだよな。


まあ、実際に鍛錬をしてみて能力は確認しよう。

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