第8話 今後のあれこれ


「シオン、本当に分配いらないのか?」


「ああ。旅が暇だったから気分転換になったし、代わりに休憩時間に王都のこと教えてくれないか?」


朝起きたら、サムソンから夜に倒したナイトウルフの分配について聞かれたけど、そこまで欲しくもなかったので代案を提示した。


「ああ、そんな事でいいならいいぜ」


「じゃあ休憩時間に頼む」


朝はゆっくり話してる時間ないしな。朝食を食べてから出発の準備をする。



馬車に揺られながら夜の出来事を思い出す。俺が無意識に害意の気配を感じたのか、もしくはただの偶然で目が覚めたのか、それは分からない。だが今後のために、害意ある者が侵入した際に発見できる、ある意味聖域みたいな空間が作れないか? 役割的には時空魔法と気配感知の合作みたいなものか。

少し実験だな。まずは閉鎖空間を自分中心にドーム状に作ってみる。イメージ的にはドーム状のバリアを作る感じか。自分の周囲狭い範囲に展開させてみる。なんか薄い膜みたいなものが出たな。指先でチョンチョンと触ってみるが、透過して特に何もない。


「エレノア、ここの辺りを触ってくれないか」


「? ここですか?」


エレノアには見えてないようだが、手を突き出すとパリンっと音がしそうな光景を見せて、薄い膜は崩れた。自分で作っておいてなんだが、これなんだろうな。一応バリアらしきものなのかもしれないが、強度はまるっきりないな。

まあ、バリアを作るわけではないから強度は必要ないんだが、もう少し工夫する必要があるか。


色々思考を巡らせている間に馬車は進み、休憩地点まで来ていた。


「1時間後に出発しますので、遅れないようにお願いします」


それを合図に乗客はバラバラに広がっていく。

俺たちも昼食の準備に移動しようとしていたら、サムソンが近づいてきて声を掛けてきた。


「朝約束した王都の話をしに来たぜ」


「言っておくが、お前の分の昼食はないぞ」


「ああ、俺はこれがあるから平気だ」


そう言って見せたのは、干し肉っぽいものだった。これ携帯食料なんだろうか。

まあ、自分の分を持ってきてるなら問題ない。適当に座ってから話を聞くことにした。


「で、主に何が聞きたいんだ?」


「そうだな。まずは王都で依頼絡みでもいいんだが狩りができる場所と、奴隷商館の場所だな」


「狩りの場所はまあいいとして、奴隷商館ね。ふ~ん」


エレノアを見ながら思わせぶりに言うが、考えてるような修羅場はないぞ。エレノアは奴隷だし。


「まあいいか。狩場は良い所があるぞ。本来ルーキーに教える場所じゃないが、お前なら平気そうだからいいだろ。王都の西に5時間ぐらい進むと、あ、この5時間は馬車で飛ばして行った場合な。周りを樹海に覆われた大きな湖がある。そこは魔力溜まりなこともあって、強い魔物が多く生息してる。ギルドでもよく討伐依頼を出している場所だ。なかなか良さそうな場所だろ?」


なるほど。確かに鍛錬目的に狩りをするには良い場所かもしれない。


「そうだな。時間があったら行ってみることにする」


「おう、でもマジに強い魔物もいるから注意しろよ」


「ああ、俺は安全第一な冒険者だ」


「で、奴隷商館な。たぶん行ってみると分かるとは思うが、王都の南側に繁華街があるんだが更に南側に進むと、立派な建物が並ぶ区画があるんだが、それが奴隷商館の区画だ。どこがいい商館とかは分からないから、そこは自分で探してくれ」


サルビナの奴隷商館もそうだったが店構えが立派なんだよな。日本でイメージしていた怪しい雰囲気は微塵もない。まあ国と教会から許可が出ているみたいだから、ある意味公共事業なのか?


それから余った時間で、サムソンがこれまで経験した護衛依頼の話を聞かせてくれた。大きな町間の護衛依頼ではほとんだ戦闘らしい戦闘はないらしい。昨日のは本当に特殊だったようだ。やっぱり危険なのは魔力溜まりに近い地域を通過する時だそうだ。魔物が溢れていたりしたら悲惨だな。サムソンもそこは心得ていて、ヤバイと思った護衛依頼は避けているそうだ。さすがパーティリーダーだな。



結局この日も何事もなく、最後の町へと到着した。

通過する町は、そこまで大きな町ではないため、宿屋も選べるほどはない。探すのが面倒なのもあって、サムソン達が使ってる宿屋にそのまま泊っている。


寝る前にステータスを確認するか。

エレノアと身を寄せながら、お互いのステータスを確認する。



ステータス

================


名前  エレノア

種族  人間

年齢  20


スキル

 戦闘 短剣術☆0 ( 0.01 )

    槌術☆0 ( 0.10 ) △0.01

    盾術☆0 ( 0.09 )


 身体 体力強化☆0 ( 0.14 ) △0.01

    頑健強化☆0 ( 0.11 )

    筋力強化☆0 ( 0.12 ) △0.01

    器用強化☆0 ( 0.10 ) △0.01

    敏捷強化☆0 ( 0.07 )

    魔力強化☆0 ( 0.26 ) △0.03


 特殊 料理★2 ( 0.17 )

    調合☆0 ( 0.00 )

    良否判定☆0 ( 0.13 ) △0.02

    真偽判定☆0 ( 0.13 ) △0.02

    気配希薄☆0 ( 0.12 ) △0.03

    解体☆0 ( 0.20 )

    魔法威力☆0 ( 0.00 )

    魔力回復速度向上☆0 ( 0.25 ) △0.04


魔法  生活魔法☆0 ( 0.27 ) △0.03

    時空魔法☆0 ( 0.16 ) △0.02


加護  生体掌握網 (スレーブ動作中)

    成長促進 (スレーブ動作中)


================



この5日間、ほとんど動けてないからな。生活魔法は遠慮しながらではあるが、ずっと使っていたから結構伸びている。すぐダンジョン都市に移動する予定だったが、昼に聞いた話もあるし、少し鍛錬してから行くかな。



ステータス

================


名前  シオン

種族  人間

年齢  16


スキル

 戦闘 短剣術☆0 ( 0.64 )

    剣術★1 ( 0.84 ) △0.01

    大剣術★1 ( 0.17 ) △0.01

    盾術☆0 ( 0.27 )


 身体 体力強化★1 ( 0.60 ) △0.01

    頑健強化☆0 ( 0.79 )

    筋力強化★2 ( 0.10 ) △0.01

    器用強化★1 ( 0.20 )

    敏捷強化★1 ( 0.61 )

    魔力強化☆0 ( 0.00 )


 特殊 気配感知★2 ( 0.26 ) △0.03

    気配希薄☆0 ( 0.71 ) △0.02

    解体★2 ( 0.00 )

    並列思考★1 ( 0.45 ) △0.03

    魔法威力☆0 ( 0.05 )

    命中精度☆0 ( 0.14 )

    遠見☆0 ( 0.05 )


魔法  生活魔法★2 ( 0.53 ) △0.01

    土魔法★1 ( 0.13 ) △0.02

    水魔法★1 ( 0.09 )

    火魔法★1 ( 0.09 )

    風魔法★1 ( 0.10 )

    氷魔法☆0 ( 0.09 )

    回復魔法☆0 ( 0.56 ) △0.02

    時空魔法★1 ( 0.49 ) △0.03


加護  転移ランダム特典 金一封

    転移特典     言語理解

    転生ランダム特典 生体掌握網

    転生特典     成長促進  


================



俺の方も似たり寄ったりだな。ほとんど動けてないからな。俺の気持ちの中で、王都からルクルス行きで馬車を使うという選択肢が消えつつある。本当に退屈なんだよな。まだ走って移動する方が楽しい気がする。まあ、ルクルスに向かう前にエレノアと相談してみるかな。

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