第4話 生体掌握網の可能性
目が覚めると周りはまだ暗く、いつも通りの時間ぐらいに目が覚めたことが分かる。
少し気怠い感じもするが、心地よい朝を迎えることができた。
「おはようございます。シオン様」
天井付近にライトをつけると、起きていたのかエレノアが挨拶してきた。
「おはよう。エレノア」
起き上がろうとしたエレノアを押し止めて、そっと抱きしめてから口づけを交わす。こんなことをしていると昨日の続きをしたくなってしまう。エレノアもそう感じたのか、俺の体を抱きしめ返してから愛撫しようとしてきた。
「悪い。本当はこのままエレノアを抱きたい気持ちが強いが、それをしてしまうと自堕落な1日を過ごしてしまうことが分かり切ってるから止めておく。少しこのままで待っててもらっていいか」
そう言いながら、俺とエレノアにクリーンを掛ける。
「これは生活魔法ですか」
「そうだ。風呂は好きだが、短い時間で整えるのにこの魔法が便利だな」
「はい。私は使えませんが生活魔法の便利さは良く分かります」
さて、この状態で待っててもらったのは昨日の確認の続きをしたかったからだ。
ステータス。
ステータス
================
名前 エレノア
種族 人間
年齢 20
スキル
戦闘
身体
特殊 料理★2 ( 0.17 )
魔法
加護
================
表示は出来る。でも本人に見れていないんだよな。
「少し変なことを聞くかもしれないが答えてくれ」
「はい」
「この辺りに何か板に文字が書かれたようなものが見えないか?」
「板に文字ですか? いえ、特に何もありません」
エレノアの頭には?が渦巻いているだろう。
今の状態は俺だけがステータスを見れる状態なわけだ。【生体掌握網】の網ってネットワークをイメージしてしまう。良い意味に解釈すると、人と人との生体情報をリンクさせて活用できる加護と考えられないか? まあ、試してみればいいか。
エレノアのステータスを見ながら情報をリンクすると強く思う。するとピコンと音が鳴った。
エレノアが何かビクっと驚いた反応を見せた。
「今何か・・・」
「少し試して貰いたいことがあるんだがいいか?」
「はい」
何と言うのが正解か・・・
「教会で自分の獲得しているスキルを見ることができるよな?」
「はい、私は使ったことがありませんが」
「俺の持っているスキルの中に、それと同じような事ができるものがある。俺はそれをステータスと呼んでいて、頭でステータスを表示すると考えると、目の前に情報が表示されるんだが」
話を理解できていそうか、エレノアを見てみるが大丈夫そうだ。
「もしかするとエレノアも表示できるようになったかもしれないので試してもらいたい。ステータスを表示する、と頭で考えてくれ」
「はい。これは・・・」
ああ、表示されたな。【生体掌握網】の持ち主だからか、それともリンクしたからか、エレノアが表示したステータスを俺も見ることができている。
しかし、さっき俺が見たのと情報が変わってるな。
加護 生体掌握網 (スレーブ動作中)
成長促進 (スレーブ動作中)
エレノアのステータスに追加されている。これは俺がリンクさせたからかな。
ステータス表示の内容を簡単に説明してから、スキルを取得することをイメージするように言った。
「すみません。言われたような内容は表示されません」
エレノアではスキル取得できないのか? 試しに俺の方でエレノアのステータスを表示した上でスキル取得を試してみる。
◎取得可能スキルリスト
短剣術
盾術
体力強化
頑健強化
筋力強化
器用強化
敏捷強化
調合
良否判定
真偽判定
気配希薄
解体
魔法威力
取得できそうだな。これは俺の加護がマスター側だからこそできるのかもしれないな。
取得可能スキルリストのほとんどは俺が持っているスキルから選ばれているな。もしかして個人差でスキルリストに上がってこない事もあるってことか?
その中でも3つほど俺が持っていないスキルがある。これはエレノアが元々取得できる可能性があったスキルってことか。そうだ。俺の方のスキルリストはどうなっているんだ?
◎取得可能スキルリスト
料理
調合
確かに追加されている。良否判定と真偽判定は俺には取得不可ということか。調合は興味はあるが落ち着いたら考えるか。料理はもちろんやる気がないので取得しない。
「今エレノアが取得できるスキルは全部取っていいか?」
「はい。お任せ致します」
そうだ。魔法のほうも取得できるんじゃないか?
◎取得可能魔法リスト
生活魔法
時空魔法
2つの魔法が取得できるようだ。やっぱり個人差がありそうだな。
取得できるスキルと魔法を全て取得する。
ステータス
================
名前 エレノア
種族 人間
年齢 20
スキル
戦闘 短剣術☆0 ( 0.00 )
盾術☆0 ( 0.00 )
身体 体力強化☆0 ( 0.00 )
頑健強化☆0 ( 0.00 )
筋力強化☆0 ( 0.00 )
器用強化☆0 ( 0.00 )
敏捷強化☆0 ( 0.00 )
特殊 料理★2 ( 0.17 )
調合☆0 ( 0.00 )
良否判定☆0 ( 0.00 )
真偽判定☆0 ( 0.00 )
気配希薄☆0 ( 0.00 )
解体☆0 ( 0.00 )
魔法威力☆0 ( 0.00 )
魔法 生活魔法☆0 ( 0.00 )
時空魔法☆0 ( 0.00 )
加護 生体掌握網 (スレーブ動作中)
成長促進 (スレーブ動作中)
================
「スキルとついでに魔法も取得しておいた。確認してみてくれ」
「はい。こんなにも簡単にスキルが取れてしまうんですね。シオン様のスキルは特別な力ですね」
エレノアは少しは驚いたのかもしれないが、冷静に自分のスキルを確認している。
今後スキルを鍛えていくのは俺と一緒だが、今でも少し確認できることがある。
「とりあえず服を着てから準備をしようか」
「分かりました。シオン様」
2人とも着替え終ってから、まずは確認前にエレノアにやってもらうことがある。エレノアに巾着袋を渡す。
「まずこれをマジックバッグに入れることをイメージして魔力を込めてくれ」
「はい」
巾着袋は消えて、無事にアイテムボックスに格納されたようだ。やはりマジックバッグを扱ったことがあればアイテムボックスをイメージしやすい。
「今、巾着袋を入れたのが時空魔法のアイテムボックスと言う、マジックバッグと同様の機能を持つ魔法だ。基本金はこのアイテムボックスで管理してくれ」
「・・・分かりました。昨日も言いましたが、奴隷に金品を持たせることも控えて頂けると助かります」
「エレノアの言うことは理解している。ただエレノアには色々サポートを頼むから特別だと思ってくれ」
「はい。但し今後奴隷が増えた場合、特別ということは言わないようにしてください。平等に扱うことがシオン様にとっても良い事だと思います」
「なるべく気を付けるようにする」
エレノアはそれ以上は言わず、軽くお辞儀してみせた。
「話が逸れたが、今アイテムボックスを使ったことにも関係あるが、今後エレノアには覚えたスキルの熟練度を上げてもらいたい」
ここでステータスの内容を説明して、スキルの熟練度を上げることがこれからの生活に如何に大事か理解してもらった。スキルを上げればエレノアが戦闘要員ではないにしても、早々死ぬことも無くなると考えている。
「時空魔法はアイテムボックスに巾着袋を入れておけば熟練度が上がる。その他のスキルについても俺と一緒に鍛錬してもらう」
「はい。努力致します」
「そこで確認なんだが、これを判定したいと思って見てくれないか?」
小銅貨を渡しながらエレノアに確認してもらう。
エレノアは小銅貨を見ながら少しの間考えている。
「そうですね。品質は少し劣化してるように思えます。そして本物だろうと思われます。見たままと言えなくもないですが」
まあ確かに見たまんまだけどな。エレノアのステータスを確認してみる。
良否判定☆0 ( 0.01 ) △0.01
真偽判定☆0 ( 0.01 ) △0.01
時空魔法☆0 ( 0.02 ) △0.02
「ステータスを確認してみてくれ。今ので熟練度が上がっている」
「これだけで熟練度が上がるのですか。普通では考えられません」
ああ、やっぱりこの世界のスキルの熟練度って上がりにくいのか。年単位だって話だったしな。そう考えると今まで影が薄かった【成長促進】がしっかり働いてくれていたってことだな。
「今ので分かってもらえたと思うが、とにかくスキルを使って熟練度を上げる。朝食を食べた後に少し鍛錬しようと思うから、覚悟してくれ」
「はい。シオン様について行きます」
ちょっと内容を考えるか。
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