第20話 新たな景色を求めて


翌日からも変わることなくゴブリンとモウモウを狩る毎日が続いている。

ただ前回の反省から、なるべく他の冒険者には近づかないようにはしている。別にあれがトラウマになってるとかではないが、暫く面倒事は遠慮したい気分だ。


そしてこの日、5つのスキルが★1に成長した。正確に言うなら4つは朝の鍛錬時にピコンと音が鳴り、残り1つはゴブリンを狩っている最中に音が聞こえた。



ステータス

================


名前  シオン

種族  人間

年齢  16


スキル

 戦闘 短剣術☆0 ( 0.64 )

    剣術★1 ( 0.73 ) △0.01

    大剣術★1 ( 0.00 ) △0.06

    盾術☆0 ( 0.25 )


 身体 体力強化★1 ( 0.44 ) △0.01

    頑健強化☆0 ( 0.79 )

    筋力強化★1 ( 0.92 ) △0.03

    器用強化★1 ( 0.12 ) △0.02

    敏捷強化★1 ( 0.49 ) △0.02


 特殊 気配感知★1 ( 0.97 ) △0.03

    気配希薄☆0 ( 0.55 ) △0.02

    解体★1 ( 0.91 ) △0.03

    並列思考★1 ( 0.19 ) △0.02


魔法  生活魔法★2 ( 0.42 ) △0.02

    土魔法★1 ( 0.02 ) △0.02

    水魔法★1 ( 0.02 ) △0.02

    火魔法★1 ( 0.02 ) △0.02

    風魔法★1 ( 0.02 ) △0.02

    回復魔法☆0 ( 0.45 ) △0.01

    時空魔法★1 ( 0.22 ) △0.02


加護  転移ランダム特典 金一封

    転移特典     言語理解

    転生ランダム特典 生体掌握網

    転生特典     成長促進  


================



待望の属性魔法が★1となったので、オーソドックスな使い方から覚え始めた。だいたいの使い方にあった名称を付けたのだが、俺の残念な語彙では限界があった。


 土・・・バレット、ニードル

 水・・・ボール

 火・・・アロー、ボール、ランス

 風・・・カッター、ランス


熟練度が上がっていけばもっと出来ることも増えていくと思うが。覚えたこれらの魔法も、練習で使えただけなので、今後実戦で試してみて慣れていくしかない。

そして、属性魔法が★1になったので使えるか分からないが、明日は2つ試してみたいと思っている。



◇ ◇ ◇



一通りの鍛錬を終わらせてから、早速実験だ。

やろうとしているのは、氷魔法と雷魔法の取得だ。俺の少ない知識でほんの少しでも事象に掠れば、【生体掌握網】が拾ってくれるのではないかと期待している。


まず試しだ。手のひらの上の方にに火を出して、更に高温になるようにイメージする。生活魔法では駄目だった試みも属性魔法ではできると思っている。普通に出した火は黄色だ。ここから白、青へと変化させる。イメージとともに魔力を注ぎ込み、白になるイメージで火に変化を求める。火が少し揺らぎながら、薄い色へと変わっていく。


完全な白や青に変化しなかったが一応温度変化はあったようだ。これも火魔法の威力に関わるし鍛錬していこう。


では本番だ。


桶に水を溜めてからこれの温度を下げていく。さっきとは逆だ。

水に手をつけてから温度を下げていくことをイメージする。曖昧だが分子や原子の動きを抑えるつもりで魔力を込めていく。

何分か経ったが氷にはならない。ただ少し冷たくなった気はしたのでステータスを確認する。



◎取得可能魔法リスト

 氷魔法



何とかなったか。この曖昧な実験でもスキルを拾ってくれる【生体掌握網】に感謝だ。


問題は次だな。一般的な知識としては静電気の放電現象が雷なんだが、どうやって静電気を溜めて放電させるかだな。自然現象の雷は雲の中で氷同士がぶつかって摩擦で静電気が溜まるんだったか?俺の知識ではこれぐらいしか分からない。今覚えたばかりの氷魔法は使える気がしないから、代わりに砂を使うか。


まずは風魔法で竜巻を起こすように回転させて。戦闘で使えるような竜巻は今の時点で無理なので、すごく小さい範囲をぐるぐる回す。そして土魔法で小さい砂状の石を竜巻に投入していく。いい感じに回っている石と投入した石がぶつかっている気がするが、静電気は発生しているんだろうか。



◎取得可能魔法リスト



雷魔法はないか。たぶんさっきの実験では雲の代わりになる帯電するものがないから静電気が溜まらないのだろうか。これ以上は分からない。残念だが雷魔法は諦めるか。




鍛錬を終えた後で、魔法の実戦をするために森に入ったが、早速気配感知はゴブリンの反応を捉えた。

感知で捉えた3体のゴブリンに向けてゆっくり近づいている。今回は属性魔法でどんな感じか確かめていくつもりだ。

3体の姿を確認したところで土魔法を試してみる。まず3体の足元に意識を集中して唱える。


 「(ニードル)」 


「グギャ~!」


足元から土の針が40cmぐらい飛び出しゴブリンを縫い付ける。もう少し太くした方が頑丈だな。太さと頑丈さを意識して使うことにしよう。続けて、まだ騒がしくしているゴブリンに狙いを定めて

魔法を使う。


「⦅バレット⦆」


弾丸をイメージした石は、3体のゴブリンの体に吸い込まれるように消えていった。


その後もそれぞれの魔法を試していったが、土、火、風は攻撃魔法として十分使えることが分かったが、水魔法については工夫が必要かもしれない。俺が水魔法の攻撃を上手くイメージできていない気がする。

ただどの属性魔法にも言えることだが発動に時間がかかる。これは俺のイメージを具現化するプロセスが未熟なのだろう。実際に問題なく使えるようにするために練習あるのみという感じだ。



一通り魔法の確認が終了した後は、★1に上がった大剣術を確認していく。

ゴブリンを探して森の奥へ歩いていくと、気配感知に8体の反応を捉えた。気配を殺し近くまで近づいて姿を確認する。今回は珍しく弓持ちが1体いた。

クイックを自分に掛けてから、真っ直ぐ弓持ちに駆け寄る。驚いて弓さえ構えていないようで、周囲の気配を確認しつつ一瞬で斬り裂く。まだ何も準備ができていない隣の2体を斬り捨ててから、漸く動き出した残り5体を迎え撃つ。

やっぱり★1になると剣を扱うのが楽になった。剣術の時にも実感したことではあるが、★1に成長した途端に技術を体に染み込ませられた感じだ。




自分の部屋に戻ってきて感慨深く眺める。ここでの生活も2か月ぐらいになったのか。

今日の作業が終わってだいたい目途が立った。とりあえずステータスを確認するか。



ステータス

================


名前  シオン

種族  人間

年齢  16


スキル

 戦闘 短剣術☆0 ( 0.64 )

    剣術★1 ( 0.74 ) △0.01

    大剣術★1 ( 0.03 ) △0.03

    盾術☆0 ( 0.25 )


 身体 体力強化★1 ( 0.45 ) △0.01

    頑健強化☆0 ( 0.79 )

    筋力強化★1 ( 0.94 ) △0.02

    器用強化★1 ( 0.14 ) △0.02

    敏捷強化★1 ( 0.51 ) △0.02


 特殊 気配感知★2 ( 0.00 ) △0.03

    気配希薄☆0 ( 0.57 ) △0.02

    解体★1 ( 0.94 ) △0.03

    並列思考★1 ( 0.21 ) △0.02


魔法  生活魔法★2 ( 0.42 ) △0.02

    土魔法★1 ( 0.05 ) △0.03

    水魔法★1 ( 0.04 ) △0.02

    火魔法★1 ( 0.05 ) △0.03

    風魔法★1 ( 0.05 ) △0.03

    氷魔法☆0 ( 0.04 ) △0.02

    回復魔法☆0 ( 0.46 ) △0.01

    時空魔法★1 ( 0.24 ) △0.02


加護  転移ランダム特典 金一封

    転移特典     言語理解

    転生ランダム特典 生体掌握網

    転生特典     成長促進  


================



明日で宿屋の契約期間もちょうど切れる。合計で5回も延長したんだな。

近いうちにこの町を離れることは、世話になった人には話をしておいた。まあ、明日とは言ってないから挨拶してから旅立つつもりだ。


そしてダンジョン都市ルクルスに行く予定だ。ただ王都や他の町を経由するから、辿り着くのは結構先になると思うが。



◇ ◇ ◇



「長い間お世話になりました。色々お願いも聞いて貰えて助かりました」


最後なので宿屋の3人にも挨拶した。


「シオンさん、気を付けて行って来てください」


リーネには離れる話をしてから、色々話をしてきたので今は笑顔で送り出してくれている。


「シオンさん、また戻ったら是非泊まりにきてくださいね」


「こちらこそ肉を卸して頂いて助かりました。ありがとうございました」


リーネの両親にも、最後お願いを聞いて貰って本当に感謝だ。


「それではまた」


「元気に戻ってきてくださいね」



後は冒険者ギルドに挨拶かな。


「ルイスさん、こんにちは」


「おう、シオン。なんだ納品じゃないみたいだな。ということはダンジョン都市に行くのか?」


「はい、今日発つつもりです」


「そうか。確か馬車は使わずにサルビナまで歩きで行くんだったか」


「はい。ここからサルビナまでは近いのでのんびり行って、サルビナから王都までは馬車を使う予定です」


「まあ、王都までは危険も少ないから大丈夫だろうな」


「ルイスさんには解体の仕方から、色々なアドバイスまで本当にありがとうございました」


「バカやめろやめろ。そんな感謝されることはしてねーよ。俺のは世間話みたいなもんだ。お前のことだから心配はしてない。ダンジョン都市行っても無理せず頑張れ」


「お世話になりました」


名残惜しいが解体場を出て、受付に行く。

たぶん、この町に来て一番ルイスさんにお世話になった気がする。本当に心から感謝している。


通路を歩きながらレオナルドさんが居ないか訓練場にも顔を出してみたが居なかった。前に話をしたときに、ひょっとしたら町にいないこともあるので、ということで別れの挨拶は済ませている。専属冒険者だからな、姿を見ることのほうが少ないし、仕方ない。


「フェリスさん、アイリさん。今日でこの町を離れることになりました。これまで色々お世話になりました」


朝少し遅い時間ということもあり、混雑していなかったので2人に挨拶した。


「今日発たれるのですね。短い間でしたが、シオンさんがご活躍されるのを楽しみに見ておりました。もっとずっと長く見させて頂きたい気持ちもありますが、ルクルスに行かれてもご活躍されるのを期待しております」


フェリスさんが少し寂しげに微笑んで言ってくれた。俺も最後だから少し本音を交えて話してみることにした。


「俺も毎回報告に来ると、綺麗なフェリスさんに癒されてました。ありがとうございました」


薄っすらと赤くなったフェリスさんを眺めていると、アイリさんから言われた。


「シオンさん、最後だからってフェリスを口説かないの。この娘はこんな見た目なのに男慣れしてないんだから」


「ちょっとアイリ!!」


こんなフェリスさんは初めて見たな。最後に良いものが見れた。


「はいはい。後で慰めてあげるから。シオンさん、ルクルスで頑張ってください」


「はい、ありがとうございます。フェリスさん、最後にすみませんでした。でも本心ですので」


「!! もう、シオンさん。・・・最後なのにそんなこと言わないでください」


何か最後ごにょごにょフェリスさんが言っていたが、ギルドをお暇した。




さて挨拶も済んだし、サルビナに向かうとするかな。

ココナからロマナに来た時みたいに走って鍛錬もいいかもしれない。馬車で2日ぐらい掛かるみたいだから走ったらどれくらいで着くだろうか。それも少し楽しみだ。

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