第7話 鍛錬(2)


昨日と同じく、東門から外へ出て鍛錬を行っている。

朝は昨日と同じ鍛錬を行い、12時までは町中を見て周る予定だ。


外周を走り抜け、剣を振った。

問題は生活魔法だ。

水を飲みきった水筒に、再度水を貯めるために指先に魔力を集中させていく。

その後、指先に集中して種火を出していく。



さて、鍛錬の結果はどうだろうか。



ステータス

================


名前  シオン

種族  人間

年齢  16


スキル 短剣術☆0 ( 0.17 ) △0.01

    剣術☆0 ( 0.40 ) △0.04

    体力強化☆0 ( 0.60 ) △0.05

    筋力強化☆0 ( 0.30 ) △0.04


魔法  生活魔法☆0 ( 0.95 ) △0.10


加護  転移ランダム特典 金一封

    転移特典     言語理解

    転生ランダム特典 生体掌握網

    転生特典     成長促進  


================



生活魔法が惜しいところまできている。夜には☆1に届きそうだ。



◇ ◇ ◇



東門から入って、冒険者ギルドの方へ歩いていく。

町の西側に行くのは初めてかもしれない。西側は領都サルビナからの商人の行き来が多いらしく、宿屋も豪華で高いらしい。それに比べると東側は森以外に何もないために、冒険者ぐらいしか用がないみたいだ。

ちなみに領都という名称からも分かるが、サルビナもロマナもココナも同じ伯爵領に所属しており、ここを治めるのが、サルエール伯爵家という話だ。

元日本人の俺からすると、貴族って悪いイメージしか湧いてこないが、この領地の貴族は善政を敷いているらしく、伯爵領はどの町も活気に溢れているらしい。


西側中央に位置するところに大きな建物があるが、そこは行政館で領主代行が町の運営を行っている。

反対に東側中央に位置するところには教会がある。

南側は市場が開かれており、近傍からの野菜や果物が多く取引されているようだ。

北側には主に工房が立ち並んでいる。


西門へと歩いていると、宿屋も少し豪華そうで、人通りも多く、荷物を積んだ馬車も通行している。

普段東側ばかりにいるが、西側はこんなにも通行人が多かったんだな。


西門を背に南に向かうと、大きな建物は少なくなって、こじんまりとした建物が多くなってきた。一般住宅向けか?

この先南門へと向かっていくと市場もあり、雑多な雰囲気に変わってきた。

途中に丸い果物が売っているのを見かけ、昼食代わりに2個買って食べてみた。梨のように果汁が多く、甘味はこちらの方が甘いと思う。


南門から今度は北門に向かう。

こちら方面は工房が多いこともあり、何かしら作っている音がしていて、騒々しさがある。


改めて見て回ると、綺麗に区画整理された町だな。

少しだけ都市開発ゲームを思い出させる。

俺はRPGばかり遊んでた気がするが、都市開発ゲームにも少しは手を出していたのかな。



時計を確認すると11時半ぐらいになったので、冒険者ギルドに向かうことにした。


今日の冒険者ギルドの受付カウンターには、フェリスさんもアイリさんも座っていたので、どうしようかとも思ったが相談したアイリさんに話しかけた。


「アイリさん、こんにちは」


「シオンさん、こんにちは」


「先日相談した剣の指導をお願いにきました」


「はい、少しお待ちください」


アイリさんが席を立ち、横の通路から奥へと歩いて行った。少し経つと奥から戻ってきて。


「シオンさん、こちらの訓練場まで来て頂けますか」


「はい、わかりました」


アイリさんの案内に従って通路を奥へと進んでいくと、広い訓練場に出た。特に何かがあるわけではないが、地面は土になっており、壁際にはイスが少し並べてある。

そんな訓練場には、鎧を装備した30代の男が2本の木剣を持って立っていた。


「シオンさん、こちらが本日指導して頂くレオナルドさんです。レオナルドさん、こちらがお話していたシオンさんです」


「シオンです。今日はよろしくお願いします」


「レオナルドだ。短い時間だがしっかり指導するので頑張ってくれ」


「レオナルドさん、後はお願いしますね」


「おお、任せとけ」


アイリさんはレオナルドさんに頼むと受付カウンターに戻っていった。


「シオン、剣はどの程度学んだことがあるんだ?」


「剣を握ったばかりの素人です。まったくの我流です」


こんなことで見栄を張る必要はないので、そのままを伝える。


「わかった。まずお前の持ってる剣を振ってくれるか」


「はい」


剣を抜いて、普段の通り上段から振り下ろす。


「まずは剣の握りをこうだな、ここに少し間を開けて。これで振ってみてくれ」


握り方を修正されてから、再度振る。若干振りやすくなった気がする。


「今の剣の握り方を覚えてくれ。それと、まだ剣の重さに慣れていないようだな。どうやら鍛錬はしているようだから、慣れの問題だと思うが。上達したいなら鍛錬は続けるようにしたほうがいいぞ」


その後、剣の振り方をいくつかと、注意点を教えてもらった。


「よし、木剣に変えて、立ち合い稽古だ」


鉄剣は鞘に戻して置く。

木剣を受け取って、簡単に振るとかなり軽い。


「冒険者の基本は魔物との闘いだ。しかし護衛依頼や盗賊討伐など、人相手に戦うことも多い。そうした場合の、人はどんな風に動くかというものを、体で覚えてくれ」


「はい」


それからの残り時間までは、レオナルドさんとの実践稽古となった。

切り込んでも受け流されたり、避けられたりした。相手からの攻撃は受けようとしたら押し負けたり、フェイントを使われて、意味が分からないうちに攻撃を受けたりした。

何度も何度も叩かれて、少しは避けることもできるようになったが、こちらの攻撃はまったく通用しなかった。


「どうだった、シオン」


「ぜんぜん手も足もでませんでしたよ」


「そりゃ当たり前だ。ひよっこのお前にどうにかされるようだと、俺が引退しないといけなくなるぞ」


レオナルドさんは笑いながらそう言った。


「今日教えたことを少しでも考えながら、とにかく鍛錬は続けろよ。それを怠った冒険者は長生きできないからな」


「はい」


「じゃあまたな」


「ありがとうございました」


レオナルドさんは訓練場を出て行った。

俺も少しフラフラしながらも訓練場を後にした。


アイリさんに挨拶していこうと戻ってくると、冒険者の対応をしていたので、その後ろに並んで待つことにした。幸い、すぐに冒険者は去っていった。


「アイリさん、指導終わりました。今日はこれで帰ります」


「シオンさん、お疲れ様でした」


アイリさんに報告したので、宿屋に戻ることにした。



◇ ◇ ◇



宿屋に着いたが、そのままベッドに倒れ込んだ。

夕食までの時間がまだ少しあるので休むことにした。正直、ここまで疲れるとは想像していなかった。

目を閉じると、すぐに意識が無くなった。


次に目を覚ましたときは、18時になっていた。

急いで夕食を食べに降りていく。


下に降りると、いつもは見ない30代の女性が食器を運んでいた。見た感じリーネと似ているので、この人がリーネのお母さんだろう。


「シオンさん、夕食ですか?」


顔も名前も覚えられているみたいだ。


「はい、え~と、はじめまして?」


「そういえば、はじめましてになるんですかね。リーネの母親でミリーといいます。すぐ持ってきますね」


ちょっと考える風な表情を浮かべてから、奥へと消えていった。


この時間は人が多いのでカウンターに座って待つことにした。

言葉通り、すぐに夕食が運ばれてきた。


「はい、どうぞ」


「いただきます」


「娘からシオンさんの事はよく聞いていて、それに時々井戸で見かけていたものですから、初めてって感じがしなかったんですよ」


ミリーさんは笑いながら言った。


「リーネに確認はしてもらいましたが、井戸での鍛錬、迷惑かけてませんか?」


「大丈夫ですよ。ぜんぜん静かですから」


良かった。鍛錬で迷惑かけてたら、使う気になれなかった。



部屋に戻ってから今日の鍛錬の成果を確認する。



ステータス

================


名前  シオン

種族  人間

年齢  16


スキル 短剣術☆0 ( 0.18 ) △0.01

    剣術☆0 ( 0.60 ) △0.20

    体力強化☆0 ( 0.67 ) △0.07

    筋力強化☆0 ( 0.39 ) △0.09


魔法  生活魔法☆0 ( 0.95 )


加護  転移ランダム特典 金一封

    転移特典     言語理解

    転生ランダム特典 生体掌握網

    転生特典     成長促進  


================



剣術の熟練度が大きな伸びだな。短い時間だったけど、しっかり教えて貰えたからな。

生活魔法が残り 0.05 か。頑張って上げるか。



まずは水筒に水を溜めていく。

満杯になったら、ステータスを確認する。


生活魔法☆0 ( 0.97 ) △0.02


指先に火種を出していく。バーナー、バーナーをイメージ。

指先に集中していると、ピコンと鳴った気がして、急に指先の火の勢いが強くなった。早速ステータスを確認する。


生活魔法★1 ( 0.00 ) △0.03


生活魔法が★1に変化していた。

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