第6話 鍛錬(1)


目を覚ますと当然真っ暗だ。天井付近に灯りをつける。

時計を見ると、まだ3時だった。

服を着替え剣を装備する。


まだ宿屋の人は寝ているようだ。


井戸に行ってから素振りは始めた。

昨日、朝食ができるまでの間、剣の素振りをしてもいいか聞いてみたら、人が来ない時間、人がいない時に限って、使用してもいいと許可を貰った。


無心に剣を上段に構えては振り下ろす。まだまだ剣に振り回されて、体は持っていかれるような感覚があるが、とにかく今やれることは振り続けるのみ。

剣が持ち上がらなくなってきたら休憩して、また体力が戻ったら、剣を振る。


少し空が明るくなってきた気がした。時計を見ると5時半になっていた。そろそろ人が来るかもしれないので、急いで汗を拭いてから部屋へと戻る。


続けて生活魔法だ。

クリーンは効果がないことが分かったので、試すのを止めた。

今できるのは火種のみなので、イメージだけしっかり持って火を出し続ける。



ステータス

================


名前  シオン

種族  人間

年齢  16


スキル 短剣術☆0 ( 0.14 ) △0.01

    剣術☆0 ( 0.28 ) △0.03

    体力強化☆0 ( 0.43 ) △0.02

    筋力強化☆0 ( 0.18 ) △0.03


魔法  生活魔法☆0 ( 0.71 ) △0.08


加護  転移ランダム特典 金一封

    転移特典     言語理解

    転生ランダム特典 生体掌握網

    転生特典     成長促進  


================



短時間だったが鍛錬の効果がしっかり出ている。

朝食を食べてから、町の外に行って続行しよう。



「シオンさん、随分早くから頑張ってましたね」


リーネにそんなことを言われた。


「もしかして、音うるさくて起こしてしまったか?」


なるべく迷惑にならないように静かにしていたつもりだが。


「ううん。お母さんが起きた時に見たみたいですよ」


そういうことか。安心した。


「そういえば、俺はリーネのお父さんとお母さんって会ったことないな」


「ふふふ、シオンさんいつも早くに出て行って、早くに帰ってきて、すぐに部屋に行ってしまいますからね」


「言われれば、そうだな」


「お父さんもお母さんも、今厨房でせっせと料理作ってますよ。もう少し後からなら表に出てくると思うけど」


見かけないなぁと思ってたら、なるほどね。


「まあ、俺はリーネの顔を見れるだけで満足だな」


「もう、シオンさん。そんなこと言うと勘違いされますよ」


リーネは少し顔を赤くしながら奥へと入っていった。別に口説いているわけではないが、あの年頃の女の子には意識しないで、自然と言えるものだ。



今日は東門から外に出てきた。鍛錬するだけなので、どこの門から出ても関係ない。それに宿屋からは東門が近い。


まずは町の外周を走ることにした。門の前を走ると何か言われそうなので、東門から南門を周回することにする。

前に走ったときに比べて、装備を着ている分若干重い。それでも何周もする体力はあるようなので、スピードを上げた。冒険者をやっていくのに、体力が必要になってくるだろう。

アスリートのように体を追い込んでいく。

走りながら考えた。実際の冒険者を意識するなら、鍛えるときは背負いバッグに何か重しを入れて鍛えるべきかもしれない。次回から準備しよう。


20周はしただろうか。走るのを止めて休憩することにした。水筒から水を飲みながらウォーキングしてクールダウンを行う。


落ち着いたところで、剣の素振りを開始する。

当面の目標は体が剣に振り回されないようにすることだ。剣の技術的なことについては、ギルドでの指導に期待することにした。

いつもと同じように上段に構えて振り下ろす。力を込めて振り下ろしながら、下で剣先がピタっと止まることを意識して行う。どうしても力を込めると、振り終わった後に剣先がぶれる。


少し休憩していると11時の鐘が鳴っているのが聞こえた。

腹が空いたと思ったら、そんな時間か。どうしようか悩んだが、いつもの屋台で済ませることにした。



◇ ◇ ◇



ロマナの外に戻ってきて、鍛錬を再開した。

次は生活魔法にしよう。

今鍛錬している中では、一番☆1に近い存在だ。☆1にするとクリーンが使えるんじゃないかと密かに期待している。


外なら水をだしても平気そうか。

蛇口から勢いよく水を出すのをイメージしながら、指先に集中した。

指先からポト、ポトと水が出ている。どんなに魔力を込めたつもりになっても、これが限界だ。


続けて、火種を出していく。

火の大きさが全然変わらないことは分かっているので、温度は変えられないか挑戦してみる。

火が温度を上げて赤から青に変わるようなイメージを持ちながら、火を出す。

火はいつもの通りで、大きさも色も変わる感じはしない。

もしかしたらと思ったが、生活魔法と属性魔法では違うようだ。


生活魔法を終えて、外周の走り込みを始めた。

朝よりもスピードを上げて追い込んでいく。結構なスピードで周りの景色が流れていく。さすがにこの状態では、かなり息苦しい。それでも、足を前へ前へと動かす。


何とか呼吸の乱れが落ち着いた頃に、剣の素振りを始める。

理想の動きに近づくように、力を入れて振り下ろす。

この世界に流儀みたいなものってあるんだろうか? あるとは思うけど、もし習ったとしても俺にそんなの覚えられるかは怪しい。剣士とか騎士みたいな高尚な精神はないし。


1日ぶっ通しての鍛錬はさすがに疲れた。普通だったらこんなの続かないだろう。熟練度が分からない状態だったら。



宿屋に着いたぐらいに16時の鐘の音が聞こえてきた。


「シオンさん、なんだか疲れてますね」


「1日中鍛錬しててね」


「大変ですね。でもシオンさんって冒険者だったんですね」


「あれ、言ってなかったか」


「聞いてないし、最初見たときは、村の人が商売に来たのかと思いました」


最初の恰好はそうだな・・・

リーネと話しながら、夕食を食べ終わる。


服を着替えよう。さっきから体がベトベトしている。

部屋に戻り着替えをもって、井戸へ向かった。

体を拭き、服を洗濯して部屋に戻る。



今日の鍛錬の成果を見よう。



ステータス

================


名前  シオン

種族  人間

年齢  16


スキル 短剣術☆0 ( 0.16 ) △0.02

    剣術☆0 ( 0.36 ) △0.08

    体力強化☆0 ( 0.55 ) △0.12

    筋力強化☆0 ( 0.26 ) △0.08


魔法  生活魔法☆0 ( 0.85 ) △0.14


加護  転移ランダム特典 金一封

    転移特典     言語理解

    転生ランダム特典 生体掌握網

    転生特典     成長促進  


================



軒並み上昇幅が大きい。まあ短剣術はやってないから仕方ないけど。それでも剣をやることで少しは恩恵があるみたいだ。

生活魔法が後少しだ。頑張って☆1を目指そう。

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