第4話 東の町ロマナ(1)


目が覚めると、部屋の中は真っ暗だった。

灯りとか何もなかったな。ふと、灯りって生活魔法であったりしないか?と思ってしまった。 もしくは火種用の火でもいいのか。


日本の家の照明をイメージして。あの辺りに光、光・・・っと考えると。

部屋の天井に薄っすらとした灯りが灯った。光量が少ないためにハッキリ言って暗い。


生活魔法って色々な属性の魔法を使ってるよな? 火、水、風、光? もしかして普通に属性魔法を覚えられるようになっていないかな。

試しに取得リストが追加されていないか確認する。



◎取得可能魔法リスト

 


何も追加されてないな。

どうやら生活魔法と属性魔法では分類が違うらしい。



今日はロマナに行く準備をしよう。そういえば、ここからロマナまでどれくらいの距離があるのかも聞いていない。何日もかかるようなら食料も含めて準備しないといけない。朝食を食べるついでに聞いてみるか。


少し明るくなるまで、剣と生活魔法の鍛錬をすることにする。


剣の鍛錬と言っても、ただ短剣を振り回すだけなのだが。

自分なりに考えた構えを取りながら、短剣を何度も振る。自分でスムーズに振れていないと分かるが、現状はどうしようもない。冒険者ギルドなどで指導してくれる人とかいると助かるが。


鍛錬になってるかよく分からない短剣の素振りを終えて、今度は生活魔法を鍛錬する。


まずはクリーンから試す。

何度もイメージしながら、クリーン、クリーンと唱えるが発動しない。


そういえばクリーンと声に出しているが、別に呪文を唱えるとかは必要ないかもしれない。属性魔法などの他の魔法はどうか分からないが。生活魔法に関して言えば、声に出さなくても発動しているからだ。

じゃあなんで声にだしているのかと言えば、イメージしやすいからだ。慣れてくれば声に出すことはないと思う。


クリーンは発動しそうもないので、火種を出すことにした。

昨日は頑張っても、ロウソクの火よりも仄かな火しか出なかったので、バーナーの火をイメージして指先に集中する。


何分にも渡って火を出し続けているが、魔力が逼迫することがない。これは生活魔法で消費する魔力量が少ないのか、もしくは俺の魔力量が多いのか。判断するには、他の魔法を覚えないと難しい。



いい感じに明るくなってきたので、鍛錬になってるか分からない鍛錬を終了して、階下に降りていくことにした。


食堂に着くと、昨日の女性がテーブルを拭いたり準備をしているところだった。


「おはようございます」


「あら、おはよう。早いのね。よく眠れたのかしら?」


「はい、ぐっすりと眠れましたよ」


実際ぐっすり眠れた。夜の早い時間は、下の食堂からの賑わいの声が漏れ聞こえていたが、あんまり気にならなかったな。


「もう朝食って食べられますか?」


「ええ、大丈夫よ。今持ってくるわね」


「お願いします」


場所は昨日の夕食を食べたのと同じ所に座った。


「はい、どうぞ」


朝食はパンと野菜スープ、そして果汁ジュース。

食事のレベルがロマナに行っても変わらないことを切に願った。この食事の内容だったら俺はこれからも生きていける。


「ごちそうさまでした。美味かったです」


ちょうど通り掛かった女性に、食べ終わったことを伝えた。


「それは良かったわ」


「聞きたいことがあるんですけど、いいですか?」


今のうちにロマナまでの行程について聞いておこう。


「何かしら?」


「ここからロマナまで、どれくらいの時間で行けますか?」


「う~ん、そうね。歩いても昼前には着けるんじゃない?」


「思ったより近いんですね」


「ここは町に野菜類を卸しているから、その分、安全に行き来できることも早い理由ね」


「なるほど」


これは色々準備しないといけないと思っていたが、気にせずに体を鍛える意味でも、走りながら向かうのもありか。

部屋に戻りながら、今日の予定を修正した。


少し休憩してから、さっさとロマナに向かうことにした。

一応生活魔法の鍛錬で、水筒に水は入ってるし大丈夫だろう。


階下に降りて、女性にカギを渡しながら挨拶した。


「お世話になりました」


「またこの村に来たときは、泊まっていってね」


「はい、では」


この村に入って来たときは南門だったが、ロマナへは北門の方角らしい。

こちら側にも自警団らしい人が立っているので挨拶する。


「こんにちは」


「よう、坊主。早いじゃないか」


40代ぐらいのガッシリした男だ。自警団って若い人だけじゃないんだな。


「はい、ロマナに早く着こうと思って」


「そうか。危険はあんまりないが気を付けて行けよ」


「気を付けて行きます」



少しの間歩いて進んだ。

北門が見えなくなってきたところで、走ることにする。


昨日、短剣術や剣術に合わせて体力強化が表示されたのは、森を抜けるときにジョギングしたことが関係していると思うんだよな。つまり走ることで鍛えることができるってことだ。


この体って俺が思ってる以上に優れているよな?

曖昧な記憶の中でも、俺ってこんなに動けなかった気がする。

まあいい。そろそろ走るか。


広い草原の1本道の中を順調に走っていく。


1時間も走ったところで小川が見えてきたので、少し休憩することにして止まった。

昨日も思ったが、やっぱり体が軽い。身長が高くなって、たぶん180cmぐらいあるよな? 明らかにストライドが広くなって、体も鈍くない。


水筒を取り出して水を飲み、小川で顔を洗おうとして覗き込んだ。

川は流れがあるためにはっきりとは見えないが、たぶん日本人の顔じゃない。

何と言えばいいか、そうだ。ゲームで自分のキャラクターを作る時に、こだわってカッコよく作ったみたいな。目も髪も鮮やかな蒼色。ちらちらと見えた髪が黒ではないと分かっていたが。

この世界って蒼色の髪って問題ないのか? いや、既に村で何も言われてないから平気だとは思うが。


なんでこんな体になっているのか、考えても分からないことなので諦める。

そんなに疲れているわけではないので休憩を終わり、ロマナに向けて走っていく。


そこから30分も走っただろうか。

大きな石壁で囲われている、町らしきものが見えてきた。



◇ ◇ ◇



ゆっくり歩きながら、ロマナだと思われる町をよく見てみる。

全部でどれくらいの広さだろうか。思ったより大きな町の全体を、3mからなる石壁が覆っている。

こちらの南門だと思われる入口には、4mほどの石畳の道が中に向かって敷かれている。この門は人の通りが少ないのだろうか、今歩いているのは俺だけだ。


門には2人の兵士が見える。剣と鎧を装備して、村の自警団とは違いちゃんとした兵士みたいだ。

無難に話しかけて行こう。


「こんにちは」


「ああ、こんにちは。悪いが身分証があったら見せてくれるか?」


「すみません。故郷の村から冒険者になりに出てきたのでありません」


「そうか。じゃあ証明書を発行するのに、小銀貨2枚必要だが大丈夫か?」


身分証の提示を求められて一瞬緊張したが、今の反応からみると身分証なしで町に来る人が少なくないんだろう。


「はい、大丈夫です」


「こっちに来てくれ」


奥の建物に案内された。


「名前を教えてくれるか」


「シオンといいます」


兵士は、紙の束らしきものと、1枚の紙に記帳している。

1枚の紙を俺に渡してきた。


「この証明書は10日間しか有効じゃないから、滞在期間が伸びたり、冒険者ギルドで冒険者キューブを受け取った場合は、ここに届けてくれ」


冒険者キューブ?と疑問に思ったが、それはギルドに行けば分かることだろう。


「はい、わかりました」


「とにかく問題は起こすなよ」


「分かってます。ありがとうございました」


ヘンに絡まれるのはイヤなので、早々と退散することにした。



とりあえず冒険者ギルドに行って登録することから始めるか。

場所が分からないから、誰かに聞かないといけないけど。

あの屋台で聞いてみるか。なにやら肉を木串に刺して焼いている屋台が見える。

昼も近いし昼食の代わりにしよう。


「すみません、2本貰えますか」


「まいど~。2本で小銅貨4枚だ」


40代前後の男が、肉を焼きながら応えてくれた。


「これって何の肉なんですか?」


「これは平原ウサギの肉だな」


なにやら聞いた名前が出てきたな。


「平原ウサギですか。狩るのって簡単ですか?」


「お前、冒険者か? 平原ウサギは弱そうな外見からすると、普通に強いぞ。冒険者に成り立ての若いヤツが、何も考えずに突っ込んでケガして帰った来ることがあるからな」


串焼きを渡してくれながら答えてくれた。

ウサギなのにそんなに強いのか。異世界半端ないな。


「これから冒険者になるところです」


「そうなのか。もし平原ウサギを狩る時は十分準備しておいたほうがいいぞ」


「そうします。ところで、冒険者ギルドの場所が分からなかったんですよ。知ってたら教えてください」


肉を食べながら、本来の目的について尋ねた。

この肉美味いな。


「この道を真っ直ぐ行くと、大きな道と交差するところがあって、その右側に大きな建物があるんだが、それが冒険者ギルドだ。剣が掲げられた看板が出ているから分かると思うぞ」


「ありがとうございます。早速行ってみます」


木串を屋台のゴミ箱らしきものに入れてから、言われた場所に向かう。



冒険者ギルドは、大きな道沿いにある建物なので思ったより分かりやすかった。

そこそこ立派な建物のようで、俺の中にあったイメージとは違い、無法者みたいな冒険者がたむろしていることもなかった。


ゆっくり扉を開き中へと入ると、正面に受付カウンターが見える。全部で4つの席があり、今は暇な時なのか、そのうちの1か所だけ受付嬢らしき人物が座っている。


受付嬢はセミロングな金髪の綺麗な女性で、たぶん20歳前後ぐらい。

常々、冒険者ギルドの受付嬢の選考項目には、美人度が取り入れられてるんじゃないかと思う。


気持ちを切り替えて、受付カウンターへと近づく。


「こんにちは。本日はどのようなご用件でしょうか?」


「こんにちは。冒険者登録をお願いしたいのですが」


「冒険者登録ですね。登録費用として小銀貨2枚必要になりますが大丈夫でしょうか?」


「はい、大丈夫です」


小銀貨2枚取り出して渡しながら答える。


「では、こちらの用紙に記入をお願いしたいのですが、もし代筆を希望される場合は、私が記入させて頂きます」


「いえ、自分で記入します」


渡された用紙に記入していく。

と言っても難しいことはなく、名前、出身ぐらいだ。出身については、どうせ分からないので日本としておいた。

記入が終わったので、用紙を渡す。


「はい、ありがとうございます」


受付嬢さんは記入された用紙を見て、怪訝な表情を浮かべたようだが、スルーしたようだ。

日本なんて地名に身に覚えがないからだろう。


「シオンさんですね。改めまして、本日担当させて頂きます、フェリスと申します」


「フェリスさん、よろしくお願いします」


「早速ですが、まずキューブに魔力登録を行いますので、この装置のここを触って頂けますか?」


さっき話に出てきたキューブだな。これは冒険者の身分証みたいなものだろうか。

黒っぽい装置に手の形みたいな表示があるので、そこに触れる。


「はい、登録終わりました。手を離されて大丈夫です。次に、こちらの水晶球に触って頂けますか?」


こっちの水晶球は占いでもする時に使うイメージだな。

水晶球に触りながら聞いてみた。


「この水晶球は何ですか?」


「こちらはスキルの情報を表示してくれるものです。魔物の討伐依頼を受けるには、戦闘スキルを所持している必要があります。これは討伐依頼で無闇に死者を出さないための措置となっております」


それだけ討伐依頼で死んだ人が多いってことか。冒険者ギルドとしては無駄な消耗は避けたいところだよな。

水晶球が淡く光って、文字が浮かんできた。


--------------------------------


【戦闘スキル】 ---


--------------------------------


あれ、スキルが表示されてないぞ。


「シオンさんは今のところ戦闘スキルはありませんね。魔物の討伐依頼は受けられないことになります」


「は、はい」


俺のステータス表示にはスキルは出てきてるよな。なんで表示されないんだ?


動揺している俺を余所に、フェリスさんは装置に何か入力している。


「はい、登録終わりました」


入力が終ると装置に置かれていた、革ひもが付いた銀色のキューブみたいなものを手に取った。


「こちらは冒険者キューブと呼ばれるもので、冒険者の情報を記録しています」


こちらに差し出しながら、続けて冒険者について説明してくれる。

禁止事項、依頼の受け方、罰則など、そしてランクについて説明された。

ランクについては1等級~10等級まであって、冒険者になったばかりだと10等級となる。

昇級は、それまでに達成した依頼の難易度と数からギルドが判断するようだ。

ちなみにキューブに記録されるのは、名前、ランク、討伐依頼の制限、達成した依頼の難易度及び数、これまで受けた罰則になる。


「他に何かありましたら、その都度質問して頂ければ、お答えできます」


「わかりました。これからよろしくお願いします」


「こちらこそ、よろしくお願い致します」


今日のところは依頼を受ける気もないし、冒険者ギルドを後にした。



次は宿屋だな。

そうだ、証明書を返しに行くついでに、さっきの屋台で聞いてみるか。


来た道を戻りつつ、先程のスキルが表示されなかった件について考えた。

俺のステータス表示とさっきの水晶球で何が違うんだろう。

ステータス表示の内容を考えてみる。



スキル 短剣術☆0

    剣術☆0

    体力強化☆0



もしかして☆0って正確にはスキルを覚えてることにはならないんじゃないのか?

水晶球が身に付いたスキルを表示するのに対して、俺のステータス表示は完全に身に付く前のスキルまで表示するみたいな。

これは☆1にしてみないことには分からないな。


屋台を通り過ぎ、先に証明書を返してきた。

ここにもキューブを読む装置があるようで、念のためキューブの記録を確認された。

この装置、広く配置されているようだが、錬金術か何かの産物なんだろうか。

錬金術は色々作れそうだし、すごく興味を惹かれる。



その後屋台まで戻って登録の話をした。


「冒険者ギルドで無事登録できました」


「良かったな。無理はしないことだな」


匂いに釣られて、また2本頼んだ。

串焼きを食べながら、宿屋について相談する。


「そうだな。大通り沿いにある宿屋なら特に問題ないだろうが、西の大通りは高い宿屋が多い。東の大通りは冒険者が多く使う関係もあって比較的安いぞ。オススメは東門近くにある森の泉亭だな」


「森の泉亭ですか」


「食事もそこそこ美味しいが、まあ質より量な感じで冒険者に人気だ。看板には森の中に泉がある絵が描かれているから分かると思うぞ」


「ありがとうございます。森の泉亭に行ってみます」


串焼きを食べ終わると、早速森の泉亭に向かった。


大通りを歩いていると、店内に服が並んでるのが見えた。

自分の服を見て、そういえば着替えも何もないことに気付いた。

これから依頼を受けたり、戦ったりしないといけないから丈夫な服が必要だな。

店に入ってどれにしようか迷っていると、棚の整理をしていた女性店員さんが話しかけてきた。


「いらっしゃいませ。どんな服をお探しでしょうか?」


「冒険者なんですけど、丈夫で動きやすい服を探してます」


簡単に目的の服の概要を説明した。

これなんかどうでしょう? 通気性が優れていて・・・とオススメしてくるので、服上下3着ずつと下着5着購入した。全部で小銀貨5枚になった。



東門の数軒手前に、たぶんこれじゃないか?と思われる看板の3階立ての大きい宿屋があった。

1階は食事ができるようにテーブルが並び、2,3階が客室なのだろう。


「こんにちは」


「いらっしゃいませ」


中には10代前半ぐらいの赤毛をポニーテールにした女の子が掃除していた。


「宿泊したいんだけど1人部屋空いてるか?」


「はい、期間はどれくらいになりますか?」


「そうだな。とりあえず10日間で頼む」


「はい、ちょっとお待ちくださいね~」


女の子は元気よく奥の方に歩いて行った。

奥から宿泊帳のようなものを持ってきて書いている。


「名前を聞いてもいいですか?」


「シオンだ」


「朝食夕食付きで1泊小銀貨2枚になります。10日分だと、え~と、大銀貨2枚ですね」


大銀貨2枚渡しながら、朝食夕食の時間を教えてもらう。


「朝食と夕食は何時ぐらいに食べれるんだ?」


「朝食は6時、夕食は16時前後からなら、たぶん食べられますよ」


ん、6時?16時? 時刻が存在するのか?


「時刻が分かるのか?」


「ああ、シオンさん、時計は持ってないんですね。え~と、朝と昼と夜に鐘が鳴ってるの分かりますか?」


もしかして、さっき冒険者ギルドにいるときに鳴ってた音か? 説明を聞きながら何の音だろうと思ったが、フェリスさんが気にした様子を見せなかったから、特に聞かなかったんだが。


「ああ」


「あれ、6時と11時と16時に鳴らしてるんです。町の人はあの音を目安にしてると思いますよ」


「そうなのか。時計ってどこかで売ってるのか?」


時計があるなら是非とも欲しい。ココナ村では使われてる形跡がなかったから、この世界には無いのかと思ってたんだが。


「道具屋さんで売ってると思いますよ」


「そうか。村では時計見たことないから、知らなかった」


「田舎のほうだと時計を使わないで、昔ながらの生活してるところ多いですよね」


有意義な情報が聞けた。この世界、それなりに便利道具作られてるよな。キューブだったり。


「風呂ってあるかな?」


「お風呂はないです。お客さんは裏の井戸で体拭いたりしてますね」


日本みたいに風呂が全体に普及してないな。風呂に入りたいな。


「はい、これ。2-8号室になります」


「ありがとう」


カギを受け取って、階段を上がって2階にきた。

2-8ということは、たぶん2階で合ってるよな。プレートに2-8と書かれた部屋があったので、カギを開けて入る。


ココナで泊まった部屋よりは広いな。ベッドしかないけどな。

荷物を適当に置いてから、バタっとベッドに倒れ込む。

時間あるし鍛錬するか。


まずは生活魔法。

クリーン・・・発動しない。

火・・・火の大きさは変わらないが、相変わらず長い時間出しても問題ない。

水・・・水筒を満タンにして止める。


短剣術と剣術。

よく分からないが、振り上げ振り下げ、突きもありかなと考えて、50セットこなす。


思ったより集中してやってたようだ。

汗をかいたので、井戸で体を拭いてから夕食かな。



「シオンさん、夕食ですか?」


「お願いできるか? えーと・・・」


名前聞いてないから、知らないな。


「私、リーネっていいます」


「リーネか、よろしく」


「はい」


端っこのテーブルに座りながら、全体を軽く見る。

2つの集団が座って食事をしている。年齢が近い集まりのような気がするので冒険者パーティなんだろうか。装備もあんまり高級そうに見えないから、ベテランパーティではないようだ。

まあ人の事は言えないな。俺なんか冒険者どころかどこの村人かって話になる。


「シオンさん、どうぞ」


「ありがとう」


リーネが運んできてくれたのは、パン、肉を焼いたもの、野菜炒め、スープ、果汁ジュース。

結構なボリュームがある。ちなみに飲み物は、追加料金を払えばエールやワインを頼めるみたいだが、アルコールを飲みたいとは思わない。どうやら俺は下戸か、アルコールがあんまり好きではなかったのだろう。


味もそこそこ、量たっぷりの夕食を食べ終えて、明日の予定を考える。

道具屋で時計を買う、武器屋で武器を買う、防具屋で防具を買う。それと、ちょっと考えがあって冒険者ギルドに行く。



リーネに一声かけてから部屋に戻った。


生活魔法の鍛錬してから寝るかな。

水は水筒にいっぱい入ってるから、クリーンと火だけだな。


「【クリーン】」


当然発動しない。正直熟練度が上がってるかも不明だ。

ちょっと無力感が漂う。

火を出すか。

薄っすらとした火が変化なしで出っ放しだ。こっちも熟練度は上がってるのだろうか。手探りの状態で確証がないのがつらいな。


とりあえずやれる事はやった。

ゆっくり寝ることにしよう。

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