第43話 先生のお話
伊勢原先生が説明をする。
「いつき」さんがそれはこくこくと頷く。
「いつきさんは心の中でいつもいつも溜め込んでいたものを蓄積しながら人格の養分とし、そして人格が生まれてしまったのです」
え?そんなこと考えたことなかった。びっくりした。初めてだった。あたしは……ぁあああ!
『あたしはね、そんなこと考えたこと無かった。びっくりしちゃった。とてつもなくびっくりしちゃった。そんなの、人生の中で一度も言われたこと無い。なんで?そんなことできるの?びっくりした』
「いつきさんの中にはたくさんの人格がいます。退院してもいいですよ。でも、週一で僕に日記を見せてください。
毎日、人格に日記を書くようにお願いをしてください。お願いをし続けてください。お願いをずっとし続けてください。
それで何度も何度も自分の切り離してしまった過去を『ありがとう』という様に言ってください。
僕は統合を望みはしません。
でも、あなたたちが記憶の共有ができるような人格の形成ができたら、きっと素敵な女性になれると思うのです。
人間は脳の二割も使っていないと言われています。
だからこそこの部分をしっかりと活用したあなたは、とても素敵な女性になれると思いますよ。
綺麗な腕を見せて歩きたいと思いませんか?精神科に通っていたと言っても、未来を見せるリーダーになっていけるという女性になっていけるようになりたくはありませんか?
僕は素晴らしいと思いますよ。
多重人格の人は怖いとか凶暴だとか恐ろしいとか言われがちですけど、そうではなくて、漫画やヒーローのような素晴らしい人間になれることもあるのです。
だから、いつきさん、あなたも週一で僕に日記を見せに来てください。
そして、僕はあなたと僕もともに歩んでいくことを思うのです。
一緒に歩めればいいと、すごく僕は思ったのでした」
私は病院から解放された。騒動の最後は結局何だったのか分からなかったけど、要は私が頑張って生きていたということは分かったということがすごく嬉しくて、なんかすっきりして帰った。
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