第42話 彼女の幼少期

「ここで僕に変わられてもな」




僕、伊勢原は悩んだ。とりあえず、僕は足を退けて唸っていた「堕鬼」さんを包み込むように抱きしめた。


「堕鬼」さんからは力が抜けていくのがわかった。


また人格交代をするのだろうか?



それでも僕は良いと思うんだ。自由に生きて欲しいから。




僕は「いつきさん」の体を壁に寄りかからせて仕方なく座った。



 幼い頃の私たち



 私には小さなハムスターが飼っていたことがある。ジャンガリアンだったんだけど。そのジャンガリアンはお父さんが夕方帰ってきたときに、酔って暴れて九階から投げちゃったの。


そこを見たの。


その瞬間から、私いつきは心を閉ざすようになってしまった。そのとき私が見た瞬間に、儚いものがさっと大きなものに囚われていることを見てしまった瞬間に、私たちの心は分かれ始めた。



 解離という現象が出始めた。ISH。由地。


彼女の誕生から僕はずっと見ている。可愛い赤ん坊だった。女の子の彼女はとても明るく笑った。発育は上々で発達障害などは無い。


でも、時折、妄想に耽ることはある。そんなときに僕は生まれたのだった。


僕はISH。記憶を司る海馬の部分で生きている人格だ。基本的には僕は外には出たりはしない。でも、いつも君のことを見ている。それで世界から、僕が君のことを守ってあげるという風に思っていたんだ。


しかし、その中からストレスという害が生まれ始める。そのせいで人格を分けなきゃいけなくなった。それで、記憶が飛ぶようになってしまったんだ。



 人間とのコミュニケーションというのはなかなか難しくて個々を全部表現するにも、すれ違いとか間違いとかあるだろう?


だから、ストレスが発生されて、君の中では人格が生まれてしまったんだよ。妄想癖のある君はISHという僕との会話の中に色んな人を作ってしまったんだ。それが種となって芽吹いてしまった。そのせいで君の中には人格がたくさんいるんだよ。



 人格それぞれにISHの声が聞こえた。



私達は驚いた。



こんな、こんな、こんな!?



こんなことってあるの?有り得るの?



ISHなんて存在知らなかった。





 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る