第23話 『解離性障害』って?
服や、洗顔などの物は親に持ってきてもらったり、自分で買ったりして何とか凌いだ。
日がな一日、看護師さんが持ってきたPCでちょいちょい仕事をし、伊勢原先生と軽く話をして一日が終わる。
何も無い四畳半の、クッションが天井にまで塗れた部屋だけど、クッションがあるのでPC作業には問題がないようには感じられた。
相変わらず仕事をした覚えがないのに、仕事は突然終わっているのだけれど。
そんな毎日を過ごしながら一週間。
私はついになぜここにいるのかを伊勢原先生に聞いてみた。
「何故って、天宮さんは何でだと思う?」
「え?記憶が無くなっちゃうからですか?」
私にはそれぐらいしかわからなかった。
隔離されているのも記憶が無くなってなんかしちゃうとかだと思っていた。
『解離性障害』と言うのが何なのか、調べはしたけど、結局はよくわからなかった。
「違うよ。天宮さん。ここ最近仕事した覚えはありますか?」
「いや、ないです」
そういえば仕事は完遂できているのに『自分でやった』感がない。というかいつの間にか終わっていることの方が多い。
だからか。『自分』というものがぶれているように感じているのは。
「天宮さん、それが『解離性障害』です。自分が自分じゃないように感じたり、記憶がない時に『なにかをやらかしてしまっている』とかありませんでした?」
言われてみれば、帰省した時に茂さんに・・・・・・。何だっけ、大事なことを忘れているように思う。
何だったっけ?
でもやらかしているはずだ。私、どうしちゃったのだろう。
「忘れちゃっていますか?では、僕からの宿題です。この大きな紙に思い出せる最古の記憶から現在の記憶までを細かく書いてください」
「細かくですか?」
「そう、できるだけ細かく」
そう言って伊勢原先生はA3用紙を四枚ほど持ってきた。そこに最古の記憶から今までを細かくね。書く気にならないな。
「それを書き終わるまでは仕事は禁止です」
「えっ!?」
「PCも持って来ません」
では頑張って、と言って先生は去っていった。
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