第22話 え、いいの?

 「・・・・・・私は、これからどうなるのですか?」




 私はこれが一番気がかりだった。精神疾患だとは思いたくは無い。



 でもこの部屋からは出られない。



 そしたら会社は?仕事を失うの?こんなことのために?二年間築き上げてきたものが全てなくなるの?




 「これから、天宮さんには入院していただこうと思います。伊藤さんが担当看護師で、ここには男性は僕以外には入れないようにします。伊藤さん点滴も抜いていいですよ。洋服などは・・・・・」



 伊勢原先生が色々と話している。私の股を開いたのはまさかの聡美だった。気付かなかった。それほど私は周囲に関心が無くなるくらい、自分のことで手一杯だったようだ。



 でも私には『入院』と言う言葉が一番きつかった。



 やっぱり、精神科なんて来なきゃよかったと今は思っている。



 こんなことになるぐらいなら。




 「あの、仕事は・・・?」




 私は震える声で伊勢原先生に聞いた。



 テキパキと私から点滴を抜いていた聡美の手が止まる。やっぱり無理かな。そうだよね。分かってはいたよ。




 「リモートならいいよ。ただし看護師か僕がいる時以外、ダメ。それでもいいならOKだよ」





 「え?」





 まさかのOKサインが出た。



 これには聡美も驚きを隠せないようだった。


 仕事はしていいんだ・・。




 これは嬉しかった。


 精神科って意外と自由なのだとも思ったりもした。




 でも先ほどの拘束を考えるとなんか不気味な気分にもなった。


 その日から私はこのクッションに塗られた部屋で暮らすことになった。





 会社にはリモートで働くと伝え、実家で働いていることにした。

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