第18話 何でこんなことに?

 拉致?監禁?何これ?これは何で?わたし何かしたの?ただ、診察に来ただけなのに!


 聡美の言うことを真に受けるんじゃなかった。助けを呼ぼうとしても口に何かが入っていて話せない。


 足も閉じたまま動かせない。


 ここはどこ?何で私がこんな目に?何で?



 「気が付いたかな?」



 扉が開いてクッション材の隙間から白い布が見えた。


 その布は段々大きくなって、私の顔付近で止まった。


 そして口にしてあったロープ?のようなものが外され、私は自由に話すことができるようになった。


 後ろから聡美が白衣姿で来て淡々と私の体を起こし、壁に寄りかからせた。


 そこで見えたのは、ここは薄い緑と青のクッションで覆われた場所であること。


 前にいるのはしゃがみ込んでいる白衣の人。


 多分先生。


 私はここで何をされるのだろう。注射で眠らされるとか?やっぱり帰ればよかった。そしたらこんなことにはならなかったのに。




 「私はどうなるんです?」




 掠れた声で私は先生に聞いた。


 喉が渇いた。


 水が飲みたい。



 それを察してか聡美が小さなジョウロみたいなのを持ってきた。中身はお茶っぽい。



 「まずはこれを飲もう。これは『口吸い』と言って介護とかで使われるものだよ。中身はお茶だ。伊藤さんが君の好みの物を入れてくれている」



 「いつき、飲める?」



 聡美が私の口元に『口吸い』と呼ばれるものの先端を持ってきた。さすが看護師。


 初めてだったけど何とか飲めた。


 余程水分を欲していたのだろう。全部飲んでしまった。


 飲み終えて私から聡美が離れた。


 そして先生が近付く。



 私は怖かった。注射されるのじゃないかって。体の筋肉を使い隅まで移動した。










 でももう、ここからはもう逃れられない。




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