第12話 何で!?

 そして、気づいた時にはその茂さんをぶん殴っていた。





 「お前えええぇぇえぇえ!」





 私は自分の怒鳴り声でハッと気付いた。



 何があったかお爺ちゃんから聞いたら、お爺さんも止める暇がないぐらい、一瞬のことだったそうだ。


 私には殴った覚えはなく、ただ首根っこ掴んでぶん殴っていたと、後でお爺ちゃんから聞いた。




 私は自分が怖くなった。




 ————————————————怖い。




 茂さんはその後、即座に帰ったそうだ。お爺さんには



 「お前ぇけえれ」



 と私に言い、私を玄関に追いやり、ピシャリと戸を閉めてしまった。




 私には殴った記憶はなく、というか、そんなに恨んでいる人にぺこりとお辞儀するのだろうか?



 私はやっぱり怖くなり、その日のうちに自宅へと帰った。



 親に会えなかったのは残念だったが、



 『自分はやっぱり変なんだ』



 と再認識させられ、もう怖くて残りの五日間は外には行かず、家に引き籠もっていた。





 お盆休みも明けて、ようやく病院が再開した。



 私は待ちに待った検査の結果を聞きに行った。丁度、聡美も非番ということで付き添ってくれた。

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