第6話 仕事が終わって…

 「この仕事、やった覚えがない」



 何個かのプロジェクトのうち三つほどの仕事がいつの間にか終わっていることが多くなった。後輩に聞いても



 「天宮先輩が黙々とやっていましたよ?」



 としか回答が返ってこない。おかしい。これは何だかおかしい。


 この『記憶にない仕事』がなんと上司に評価され、仕事量は前の倍になってしまった。


 でも今までですらカツカツだったのに増えるとなると、いよいよ帰ることが出来なくなっていった。帰れても終電。



 帰ってからもPC開いて仕事仕事の日々。


 寝る時間なんてせいぜい二時間が良いところ。


 好きなお風呂も三分。まともに入れない。


 コロッケ屋さんにも行けなくなった。




 そんな中、ある日、驚くことに仕事が定時に終わることができた。


 でも、気持ち悪い事に


 『仕事をした覚えがない』


 それどころか、


 『昼休憩を取った事もない』


 『後輩の仕事まで全部終わらせているが、記憶にない』



 一体これは何なんだ。




 私の身に何が起きている?お気に入りのコロッケ屋さんにいき久々のコロッケとメンチカツを買って帰る途中、丁度、駄菓子屋の前を通った時、私はまたエレベーターの時にも感じたガクンという感覚に襲われた。

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