第5話 記憶のない現象
ハッと気づいた時には私は家の中でお風呂に入っていた。え?上司は?え?チャポンと水飛沫が滴る音を聞きながら、私はパニックに襲われていた。呼吸が苦しい。でもこれはきっと脱水だとパニック状態の頭で必死に考えて私は風呂場から上がったのだった。
翌日。会社に行くなり専務から衝撃的なことを言われた。
「上司君が入院になった。これからはこの人が新しい上司だ。よろしく頼むよ」
「あ、はい」
んんんんんんんんん?え?あのガタイのいい上司が入院?昨日は私の家の付近にちゃんといたのに?無意識的に返事をしてはしまったが、これはどうゆうこと?昨日に引き続きまたもやパニックに陥った。本当は頭を抱えて走り回りたいぐらい。何でこうなった?まあ、でも、前の上司とは違い、今回の上司は女性だし、きっとおかしなことは起きないと願いながら、私は新しい上司と共に専務室を出たのだった。
私にも一応、部下はいる。二年目ということで、チームの中でも一応、中堅にはなるので、三人ほど部下というより後輩がいる。
その後輩に上司が変わったことを伝えて通常業務に戻った。今回の上司は女性ということもあってか、かなりスパルタだった。
最初は、
これできる?これ終わりそう?
と優しかったものの、一週間経つ頃には
これ明日までにやって、
とか、
この案件まだなの?使えないわね。
などの暴言が目立ってきた。
確かにこの上司はかなり出来る人なのだと思う。でも、みんながみんなこの上司のようにできるわけではない。その人なりのペースというものがあって、後輩なんかは特にちゃんと教えながらやらないと育たない。
私は仕方なく、後輩を先に帰らせて残業の日々を送っていた。後輩の仕事を手伝い、上司には私が矢面に立たされ、ストレスはピークに達していた。
そんな一ヶ月が過ぎ、前任の上司のことを忘れた頃、私はある異変に悩まされていた。
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