第2話 セクハラとイジメ

 私が地味だからか?わからない。でも、何でかこの舌打ちが引っかかって消えない。上司は、訝しい顔のまま広いエレベーターの中、私にひっついてくる。正直、気持ち悪かった。でも、仕方ない。私と上司では立場が違うのだから。モヤモヤしながら、私は(さっさと帰ろ)と気持ちを切り替える事にした。



 しかし、この時、上司は私にあり得ない事をしてきた。体格のいい上司。もちろん、男性なわけで、ちょっとした憂さ晴らしだったのだと思うけど、それでもやっていいことと悪いことはあるはず。それぐらいはわかっていて欲しかった。お互い何も言わないまま十階を通り過ぎたところだった。他の部署の人はとっくに帰っている時間。誰もいないそんな場所で上司は私のお尻に手を触れさせ、揉んできました。確実なセクハラをしてきた。


 「え?」



 私は振り返ろうとしましたが、体格のいい上司は私をしっかりとホールドしていて身動きは取れない状況。このエレベーターには私と上司しかおらず、監視カメラもあるはずですが、その監視カメラには私の姿は見えない死角になっていて声を上げることもままならない状況でした。三十代後半の上司がまだ二十代前半の私にセクハラ。しかもちょうど死角になっている所で、証拠すら残さず。私は不愉快な気分のまま我慢すれば良かったのか。



否。




 「お前の良いとこなんてここと胸ぐらいしかないんだから、風俗にでも堕ちたらどうだ?」




 上司にそう囁かれた途端、私の体はエレベーターの振動とは関係なくガタンと揺れた。そこからの記憶はなく、いつの間にか家に着いていた。



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