自分とは違う世界で
小鳥遊京華
第1話 平凡な嫌な毎日
平凡な生活を送っていた。大学生の時代から一人暮らしも慣れて社会人にも慣れて二年目。仕事が好きで楽しかった。ことの始まりは三年目になって、上司が変わってから。
自分のことを過大評価するわけじゃないけど、この会社でもある程度のことはできてきた。一人前と言われてもおかしくないぐらいの経験は積んできたはず。はず、何だけれども。
何でだろう。あの上司は挨拶の時、私に「この業界舐めんなよ。お前の代わりはたくさんいるんだから」と、言ってきた。仕事友達に聞いてもこんなこと言われなかったというし、同僚もそんなこと言うとは考えられないとまで言われた。
でも、私にはそう言ってきた。なんで?最初は訳わからなかった。でも、よくある社内イジメが起きないように粛々と仕事をこなした。イジメなんてされたことは、ないはず。だけど、なぜか私はその『イジメ』を怖がっていた。粛々とこなしてきた仕事の帰り、今日は残念なことに残業が長引いてしまって偶然にもあの上司と一緒にエレベーターに乗る事になってしまった。
私は普通に「失礼します」と言ってエレベーターに乗ったのだけど、上司は何も言わず、仁王立ち。これでは乗れない。仕方なく、無理やり体を捩じ込んだ。流石に十四階をクタクタの体で階段というのはきつかった。その時、上司は訝しい表情で
「チッ」
と、私にわかるように舌打ちしてきた。私はきっと嫌な会議でもあったのだろうと、無視をしていたが、何かが心に引っ掛かった。何でこの上司がストレスを溜めている時にだけ出くわしてしまうのだろう。確かに、今日は金曜日で忙しいのはわかる。でも、部下には朗らかに接して欲しいものだ。
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