04 討伐
俺は足を止めた。
ふとした思いつき。
ゲームでは大蛇が麻痺猿を食うなんてなかったからできなかったが、これ……殺れるんじゃねえか?
試しに、大蛇の尻尾あたりに長剣を振り下ろす。
皮膚が硬くて薄い傷がついただけだが、ダメージは通っている。
魔物の上にはHPバーが表示されており、1ミリくらい減ったのだ。
1メートルくらいあるHPバーが全部で三本。
それがこの大蛇の命だ。
倒せるか……?
シャァァァ!!
大蛇が動き出す。
麻痺が解けたのだ。
俺は可能性にかけて、もう一度魔石を投げる。
それに釣られ麻痺猿がやってきて――
大蛇の細い目がロックオン。
ガブリッ!
食べた。
そして再び麻痺する大蛇。
完全に停止する。
学習能力ねえなぁ……。
食欲には勝てねえってことか?
ありがてえ習性だ。
装備のいたるところに仕込んだ魔石。
正確な数は分からねえが、やってやる!
――どれくらい時間が経っただろうか。
「はぁ、はぁ……」
剣をずっと振っており、疲労がやばい。
腕が悲鳴を上げ、息も切れ切れだ。
夕方になっていた。
シャアアァァァァ……。
静かな大蛇の鳴き声とともに、HPバーがすべて消失する。
俺の何百倍はあろうかという巨体も赤い霧とともに跡形もなく無くなった。
ボーリング玉くらいの魔石を残して。
倒したのだ。
「や、やったぞ……!」
歓びに浸りながらも急いで魔石を回収する。
麻痺猿に盗られちまうからな。
うおっ、めちゃくちゃ重てえ!
ゲームの時はこれを還元したら莫大なポイントになった。
最初にこれをゲットできるって……無双状態だ。
体力的にゆっくりしたいところだが、陽が落ちれば更に強力な魔物が徘徊するようになる。
最後の力を振り絞ってコンソールへ急いだ。
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