02 初戦闘!
島は広い。
ジャングルに入った。
ジメジメするし、暑い。
足場が悪い。
こけそうだ。
長剣を杖代わりにして進んだ。
――ウキィィィ!
奇声とともに猿が木から降ってきた。
間一髪で避ける。
危ねえ!
こいつはただの猿じゃない。
魔物。
パラライズモンキーっていう個体名だ。
長いからネットでは麻痺猿って呼ばれてる。
そう、麻痺だ。
尻尾にトゲトゲがあって、それに触れると体が痺れてしまう。
そうなったら十秒くらいは動けない。
再び仕掛けてきた。
猿が飛び跳ね、上空にある枝に掴まる。
くるくる回って遠心力を使ったアタック。
猛スピードで飛んできた。
長剣をかざして、切る。
麻痺猿は真っ二つになり、赤い霧とともに消えた。
そして赤い歪な石が落ちる。
魔石だ。
これをコンソールに入れるとポイント還元される。
そのポイントを使って装備を整えたり、島開拓ができたりするってわけだ。
「よっしゃ」
初戦闘に勝利して魔石を拾おうとしたら、
――ウキィィィ!
二匹目の麻痺猿が登場。
しかし襲ってくるのではなく、
地面に落ちた魔石を奪って木に登っていった。
しまった。
忘れてた。
こいつの特性その2、魔石の奪取。
なら奪い返せばいい、倒せばいいって誰しも考えるだろうが、不思議なことに奪われた魔石は消滅する。
クソみてえなシステム。
ユーザーから不満爆発ではあるが、運営のこだわりなのか改善されなかった要素だ。
しかし好都合でもある。
何事も考え方一つで変わる。
これを利用したらいいんだ。
クソ要素として有名ではあるが、魔石稼ぎにおいて効率性最強であるとして重宝されているプレイ技。
そう、魔石を餌におびき寄せて倒す。
無限に続けられる稼ぎ技だ。
さっそく俺はそれを実行した。
とりあえず一体討伐する。
ドロップした魔石を放置して――
やがてやってきた麻痺猿をすかさず始末する。
これの繰り返し。
でもまあ、魔石を大量に入手しても、持てる量には限界があるから……。
ポケットがパンパンになったところで中断した。
「最初はこんなもんか。コンソールに行ってリュックを入手しないとな」
衣服の仕込めるところ全部を魔石でパンパンにした。
コンソールでポイントに還元したら、初期に必要なものは揃えられるだろう。
陽が落ちる前に移動せねば。
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