第682話
「それで、クロードはしばらくゆっくりできるの?」
「すみません。急ぎでやらないといけなことがありまして」
「やらないといけないこと?」
「今、この世界で魔物が異常発生しているのは知っていますね?」
「えぇ。私達にはあまり影響がないけど上級生は忙しそうにしてるわ」
「対策は打っておきましたけどそれでは完全ではありません」
「そうなの?というかさらっと対応してるクロードはさすがね」
「問題となるのは魔界です」
「魔界?」
「はい。魔界は人間界で処理しきれなかった魔力や淀みを処理する為に創られた世界です」
「そうだったんだ・・・」
「押し付けられた魔力や淀みのせいで魔界の環境は過酷です。魔人達が人間界を恨んでいるのはその辺の事情もあるのですが、今は置いておきましょう」
「あれ?魔物が大量に湧いているということは、魔界に流れる魔力や淀みも増えている?」
「その通りです。通常時でも破綻しかけていたのに流れてくる魔力や淀みが増えればいつ崩壊してもおかしくありません」
「それって大変なことなんじゃ?」
「その通りです。その問題を解決する為には魔界に直接行く必要があります」
「私もついていく。と言いたいところだけどきっと私が行っても足手まといよね?」
「すみません。エリーゼを守りながらは難しいと思います」
「いいのよ。実力の足りない私が悪いんだから。その代わり約束して。ちゃんと帰ってくるって」
「えぇ。約束します」
クロードはしっかりとエリーゼを見て頷いた。
この日は、久々のアイナさんの手料理を振るまってもらい就寝した。
まだ、空も明けきっていない時間にクロードは目を覚ましグリフォンを呼び出し魔界の入り口がある北へ向かい度だった。
無用な騒ぎを避けるために高度をとり移動する。
移動する間も魔物を倒すために戦う人の姿があちらこちらで見られた。
今は少しでも魔界に急がなければならない。
魔界が限界を迎える前に対処しなければ大災害になってしまうだろう。
1ヶ月ほどかけてクロードは魔界に繋がる洞窟に到達した。
洞窟の周囲は魔界から逆流した魔力や淀みでひどいことになっている。
狂暴な魔物が暴れまわり、草木は枯れている。
エリーゼを連れてこなくて正解だった。
抵抗力のあるクロードでも忌避感を覚えるのだ。
普通の人ではまず耐えられない。
本来であれば魔界に人が入らないように結界が張られているはずだがその効力はほとんど失われていた。
ここから先はどんな事態が起きるかわからない。
クロードは覚悟を決め洞窟の中に入った。
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