第676話

クロード達は謁見の間ではなくポセイドスの執務室に通された。


「おぉ。本当にクロードだ。無事でよかった」


「ご心配をおかけしました」


「それで、詳細を聞かせてもらえるか?」


「はい・・・」


クロードはロキを討伐したところから何が起きたのかを説明した。


「なんと・・・。そんなことになっていたとは・・・」


「待って。いくら何でも主神であるオーディン様がそんなことするはず・・・」


そう意義を唱えたのはブリュンヒルトだった。


「残念ながら奴のしたいことは明白だぞ」


建御雷神ははっきりと告げる。


「奴は戦争の神だ。大方、クロードの活躍で戦争がなくなったのが気に入らなかったんだろ」


「こちらの方は・・・?」


「あぁ。紹介がまだでしたね。日ノ本の国の武神、建御雷神です」


「建御雷神だ。よろしく頼む」


「何と。神様でいらしゃったか・・・」


ポセイドスはそう驚いていた。


「クロード。貴方、なんてことを・・・」


そう言ってブリュンヒルトは体をプルプルと震わせている。


「どうしたんですか?」


「どうしたんですか。じゃないわよ!他体系の神話の神を連れてくるなんて・・・」


「言っとくが先に手を出してきたのはオーディンの方だからな?」


「それはどういうことですか?」


「クロードは元々、我々の管理する世界で生きていた。そこに介入し殺して転生させたのはオーディン達だ」


「そんなわけが・・・」


「いえ。建御雷神が言っているのは真実ですよ。僕は元々、地球の日本という国で生活していました。女神アリアに転生しないかと言われました」


「そんな、アリア様が・・・」


「それは本当なのか?」


父であるファイネルがそう聞いてくる。


「父様。黙っていてすみませんでした。前世の記憶と恵まれたステータスを持って僕は生まれてきました」


「そうか・・・。異様に頭のいい子だと思っていたが」


「言っとくが前世の記憶があろうがそれを使いこなせるかは別だぞ?恵まれた素質があろうと性格が歪まなかったのはお前さん達の教育がよかったからだ」


建御雷神はそうフォローしてくる。


「僕は父様や母様。兄様、姉様に感謝しています」


「そうか。そう言ってくれるか」


ファイネルは内心思うところはあるだろう。


だが、何も言わなかった。


「それで、主神オーディンに対抗するにはどうしたらいい?」


ポセイドスはそう切り出してくる。


「それは・・・」


クロードが話そうとした時、脳内に老人の声が響いた。


これは全世界の人に対する強制的な神託だった。

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