第675話
クロード達一行の旅は順調に進んだ。
その間、オーディンの妨害はなかった。
「ここまで無事に来れたな」
「そうですね・・・。父様。少し寄り道をしてもいいですか?」
「構わんが・・・」
クロードの寄り道先はクロードがオーナーを務める喫茶店だった。
「お邪魔しますよ」
「おぉ。これはクロード様」
そう言って出迎えてくれるのは喫茶店のマスターだった。
「ブリュンヒルトはいますか?」
「嬢ちゃんなら部屋にいると思うが」
「呼んできてもらってもいいですか?」
「あぁ。わかった」
しばらく待っていると私服姿のブリュンヒルトが2階から降りてくる。
「ちょっと。何なのよ?」
忘れている人もいると思うがこれでもブリュンヒルトはオーディンに仕えるヴァルキュリーである。
「随分馴染んでいますね」
「あんたがいきなり消息不明になるからでしょ」
「今の世界の状況を見て何か思うことは?」
「そうね・・・。噂話程度だけど魔物が暴れまわってるみたいね」
ゲルマン王国は大国であり魔物の対策も他の国よりはうまく対応している。
王都では大変だね。
程度の話なのだ。
「大事な話があるのでこれから王城に行きますよ」
「わかったわ・・・。少し待ってて」
「わかりました」
しばらく待つとブリュンヒルトは出会った頃の姿になっていた。
手には槍を持ち鎧姿だ。
「お待たせ」
「それでは行きましょうか」
待たせていた馬車にクロードとブリュンヒルトは乗り込む。
「む・・・。オーディンの部下か」
建御雷神は瞬時にブリュンヒルトの正体を見破った。
「こちらの方は・・・?」
ブリュンヒルトの方も建御雷神の力を見抜いたようだ。
若干震えている。
「何。ただの同行者さ」
「えぇ・・・。絶対かかわりあいたくない奴だ・・・」
「まぁ。そう言わずに」
馬車は検問を抜け貴族街に入りそのまま王城に到着した。
「お待ちしていました」
そう言って真っ先に声をかけてきたのは宰相のリッチマンだった。
「宰相、自ら出迎えとは・・・」
そう言ってファイネルは恐縮してみせる。
「私が出ねば陛下自ら出向きそうだったのでな・・・」
「ふふ。陛下は相変わらずお元気そうですね」
「クロード殿もお変わりなく」
「ご無沙汰しております」
「陛下も首を長くしてお待ちです。行きましょうか」
リッチマンの先導で王城の中に入る。
かつて何度も来たことのある城内であるが少々騒がしい。
「忙しそうですね」
「えぇ。状態が状態ですので」
王都は平時と変わらなかったが政治の中枢部である王城は魔物対策に奔走しているようだ。
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