第664話

海上自衛隊の護衛艦の好意で食事を用意してもらった。


料理をするのは苦ではないが少しでも時間を節約できるのはありがたい。


鬼ヶ島では相変わらず子鬼が湧き続けていた。


クロードと詩織と翠の3人は鬼ヶ島に上陸して鬼退治を再開する。


「はぁはぁ・・・。一体どれだけいるのよ・・・」


詩織は思わずそうつぶやく。


クロードは意識を集中して洞窟の様子をうかがう。


「軽く調べてみましたが、正直、どれだけいるかわからないですね」


「愚痴を言ってても仕方ないわ。本部には応援要請を出したけどしばらく3人で頑張るしかないわ」


相手が弱いのは助かるが、それでもいつ終わるかわからないというのは精神的に堪えるものがある。


「2人は無理せず休んでてもいいんですよ?」


「クロード1人に押し付けるつもりはないわ」


「えぇ。少しは年上の維持を見せないとね」


詩織と翠は気合を入れなおすようにそれぞれ武器を構え小鬼を倒していく。


クロードは本土の方から神力を放つ存在が近づいてくるのに気が付いた。


「2人共。応援が来たようです」


クロードからすれば馴染み深い神力を放つその正体は建御雷だった。


「遅くなってすまないな」


「いえ。でもいいんですか?神力を吸収させたくないのでは?」


「大丈夫だ。俺は戦わない。扉を開くだけだ」


そう言って建御雷は神界との扉を開く。


扉から出てきたのはかつて神だった頃のクロードが保護した神殺し達だった。


「この日が来るのを待ち続けていました」


1人1人がかなりの力を持っていることがわかる。


長い年月を修練に費やしたのだろう。


「いいんですか?」


天照大神が保護していたのに力を振るえば他の神々にその存在を知られることになるだろう。


そうすれば排除しようとする神々が現れても不思議ではない。


「覚悟の上です」


「わかりました・・・」


彼等の覚悟は固い。


反対すれば平穏な生活を捨ててまで力になろうとする彼等の覚悟を侮辱することになるだろう。


「必ず貴方方のことは守ります」


クロードは神としての力の全てを取り戻したわけではない。


それでもできる限りのことをするつもりだった。


「俺にできることはここまでだ。健闘を祈る」


建御雷はそう言って去って行った。


「皆さん。お願いします」


神殺し達はものすごい勢いで小鬼を退治していく。


それでも小鬼が相変わらずのペースで湧いてきていた。


「ここは我々が受け持ちます」


「頼みます」


クロードは神殺し達にこの場を任せ発生源を排除すべく動き出した。

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