第663話
クロードは分体を作り出し、手分けして向かってくる鬼の相手をする。
何度も広範囲の魔法を放ちスピード優先で対処する。
知能の弱い鬼とはいえ、本来であれば回収して再利用するのだが、この状況ではそうも言ってられない。
とにかく数を減らすのが最優先だ。
辺りは暗闇に満たされ夜となったがそれでも鬼達は本能に従い襲い掛かってくる。
完全な闇ではなく月が照らしてくているのがありがたい。
詩織と翠も鬼の討伐に参加しようとしてくれたが、そこはクロードが止めた。
正直、2人を守りながら戦う余裕などなかったからだ。
実力が足りていない。
それを突き付ける形となったが、それは2人もわかっている。
最後には折れてくれ、引いてくれた。
ずっと高速連絡艇に乗っているというわけにもいかず、2人は今は海上自衛隊の護衛艦に回収され休憩をとっているはずだ。
休憩をとるとさぼっていると思う人もいるかもしれない。
だが、休憩をとれるときにとる。
それは仕事のパフォーマンスを維持するためには必要なことだ。
頑張って作業をしても結果が付いてこなければ意味がない。
それはクロードにも言えることだ。
魔力的にはまだまだ大丈夫だが、一度休憩をとるべきだろう。
討伐に邪魔になる鬼の遺体は回収していたが、特大の魔法を放ち一時的な余裕をつくる。
全力で鬼の遺体を回収し、そのまま鬼ヶ島から全力でジャンプして海上自衛隊の護衛艦に着地した。
「うわっ。なんだ・・・」
どうやら見張りについていた自衛官を驚かせてしまったようだ。
「すみません。大丈夫でしたか?」
「こ、子供・・・?」
「あっ。クロード」
そう言って声をかけてきたのは詩織だった。
「一度、休憩をとろうと思いまして」
「鬼はどうなったの?」
「相変わらずのペースで湧いてきますよ。一体、どれだけいることやら・・・」
「天照大神様に確認したのだけど・・・。過去にも攻略しようとしたことはあるそうよ。ただ、あまりの数に討伐を諦めたって・・・」
「でしょうねぇ・・・」
クロードとしては納得だ。
いくら弱いとはいえ、あんな数、普通なら相手にできない。
「クロードがいるからいけると思ったのかしらね?」
「それは否定できませんね。とにかく一度、休んでからもう1度行ってきます」
「そう・・・。私達は何もできないけど頑張ってね」
自衛官に案内され仮眠室に入る。
クリーンの魔法で汚れを落としてからベッドに横になる。
寝ている間も何度か砲撃の音で目を覚ました。
幸い、海に飛び込む個体はそう多くないようで時間までしっかりと休むことができた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます