第611話

餓鬼が大量発生している山に向かう車中で注意事項を受ける。


妖怪は普通の攻撃では傷がつかず、神力を宿した攻撃でなくてはならない。


例外は銀などで作られた武器だが、コストの面や継戦能力の問題で現実的ではないという。


倒した後は心臓にある魔石を取り出して一か所に集め焼却処理をしなければならないとのこと。


放置すれば遺体から出た瘴気から新たな妖怪が生まれてしまう。


クロードの愛剣は妖精銀製だ。


確認したところ銀と同じ効力があるようだ。


魔法に関してもなんとかなるだろう。


というのも、この体は元々神力の受け皿として用意されたものだ。


この体であれば疑似神力でなく神力をそのまま利用することが出来る。


魔法に神力を練り込むのはまだまだ不安定で安定はしていないがこの機会にものにしたい。




車は山のかなり手前で停止した。


ここからは歩いていくしかないそうだ。


周辺には自衛隊の車両やパトカーが止まっており山を封鎖している。


近隣の住民は熊が出没しているという偽情報を流し外に出ないように注意喚起している。


山に足を踏み入れてわかったが大規模な結界が張られている。


力のない一般の人がこの山に足を踏み入れても普通の山だと感じるだろう。


山の中では餓鬼との戦闘がもう始まっていた。


退魔の一族は隊列を組み、呪符を投げて餓鬼に対抗している。


この体になってからはじめての戦闘だ。


クロードは愛剣を手に餓鬼の集団に飛び込む。


体は流れるように動き次々と餓鬼を斬り伏せていく。


一段落ついたところで餓鬼を一か所に集める。


餓鬼の処理はしてくれるとのことで新たな敵を求め、数人を引き連れて山の奥へと足を踏み入れた。


この現象を食い止める為には原因を特定して解決する必要がある。


山の中を進むと巨大な蜘蛛が行く手を遮った。


「土蜘蛛まで・・・」


誰が言ったかはわからないがそれが戦闘の合図だった。


土蜘蛛は糸を吐き出してくる。


それをクロードは火の魔法で燃やし次の瞬間には斬りかかっていた。


土蜘蛛は一刀の元に断ち切られその屍を晒す。


土蜘蛛は断末魔をあげ、次々と新たな土蜘蛛が現れる。


体の調子は問題ないため、クロードは土蜘蛛に突撃していく。


ついてきた人々もただ見ていたわけではなくサポートに動き出す。


クロードは土蜘蛛達が現れた方向に違和感を覚えていた。


記憶にはないはずの違和感。


その正体を確かめるべくクロードは歩を進めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る