第612話

クロードの辿り着いた場所では世界が割け瘴気が溢れだしていた。


そこから妖怪が次々と溢れだしている。


どうしたらいいのかはわからないがこのまま放置するのはまずいだろう。


とりあえず妖怪達を次々に討伐するがこれではきりがない。


そこにクロードと共に山に入った巫女達が追い付いてきた。


「クロード様。我々が封印しますので時間稼ぎをお願いします」


「わかりました」


クロードは魔法を裂け目に撃ちだしてみる。


すると、少しではあるが妖怪の出現が止まった。


それを見て、クロードは次々と魔法を裂け目に放りこんでいく。


それを30分ほど繰り返しただろうか。


封印の刻印が出来上がり裂け目は少しずつ元に戻っていった。


「クロード様がいて助かりました」


普段は決死隊を組んで妖怪を討伐しつつ刻印を作る為、ものすごく被害がでるらしい。


「次のポイントへ向かいましょう」


クロードと巫女達は次の裂け目に向けて移動を開始した。




山ではかなりの数の裂け目ができており、全て封印するのに朝方まで続いた。


今は丁度、日が昇ってきたところで朝日が目に眩しい。


「お疲れさまでした」


「皆さんの尽力で平和は守られていたのですね」


日本は平和な国と言われているが事件は毎日のように起きている。


ニュースなどで流れるがどこか遠くの出来事だと思っていた。


そして、巫女さん達のように誰にも知られることなくその日常を守っている人達がいることなど知る由もなかった。


「帰りましょう。当番の者が美味しい物を作って待っているはずです」


こうしてクロードの初の妖怪退治は終わった。




朝食を食べ終わったクロードは日課の鍛錬に励んでいた。


若いこの体では山を駆けずり回ったとはいえ1日2日の徹夜などものともしない。


周囲で鍛錬に精を出している人達はそれを温かい目でみている。


今まではただの客人だった。


だが、共に妖怪を退治したことにより仲間意識が芽生えたのだ。


自分達の知らない剣術。


知らない術式。


だが、それがどうしたというのだろう。


妖怪を退治するのは彼等の使命だ。


知らないから拒否するのではなく吸収できることは吸収すればいいのだ。


しかし、空気の読めない人物はどこにでもいるものだ。


見習いの少年が1人ずかずかとクロードに近づいていった。


「調子に乗りやがって。俺と勝負しろ」


これが神威春樹とクロードの出会いだった。

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