第610話
今は札以外の武器を見せてもらっている。
刀や矢には溝やら窪みが存在していた。
暗器として毒などを流し込むのかと思いきや本来は血をその部分に流し込むのが正しい扱い方だという。
実際に刀に血を流してもらう。
すると刀が赤色に発光し始める。
発光する色は使う人によって違うらしく赤なら火属性だ。
神道ではこの現象は付喪神が宿ったというらしい。
だが、精霊の目で見ればわかるのだが血を媒体として火の精霊がよってきていたのだ。
理論はわかったので愛剣を取り出し指を少し切って血を流してみる。
すると愛剣は黒色に変色した。
黒色に変色するのは未熟な者によくあることらしい。
だが、クロードは契約している精霊に働きかける。
すると愛剣は赤、青、緑、茶と次々に変化していく。
それを見た指導役の人は驚いていた。
この世界では精霊の数が少なく適性のある人も少ないために1つの属性だけでもエリート扱いされるのだろう。
クロードが力を取り戻すために動きはじめて幾日かが経った。
もう体調は大丈夫だということで病院からとある社に移動している。
移動の際、車に乗ったのだが馬車との違いに大いに感じる物があった。
今は素振りをしているのだが微妙に違和感がある。
違和感の正体は魂に刻まれた数値に体がついていけないからだ。
その違和感を払拭する為に無心で体を動かし続ける。
一振り一振り魂を込めて素振りを繰り返すと本当に少しずつではあるが違和感が解消されていく。
どれぐらい素振りを続けただろうか。
集中力が切れた頃、1人の男性が本殿に駆け込んでいった。
それからしばらくすると社全体が騒がしくなる。
指導役の巫女がやってきて、本殿に呼ばれていくとここ数日ですっかり顔なじみになった人達が勢ぞろいしていた。
「修練中にすまないの。だが、力を貸してほしい」
話を聞くと妖怪を封じた山の1つで餓鬼の大量発生が確認された。
このまま放置すれば人里に降りてくる為、駆除が必要だという。
見習いなども投入するがそれでも数が足りない為、手を貸してほしいという。
ちなみに、餓鬼とは異世界で言うところのゴブリンだ。
違いは肌の色だ。
ゴブリンは緑色だが餓鬼は茶色の肌をしている。
これは、所説あるそうだが、環境の変化による差異ではないかと言われている。
クロードとしても実戦で体を動かせるのは喜ばしい。
承諾して装備を確認する。
準備万端で車に乗り込み餓鬼が異常発生している山へと向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます