第606話
クロードとロキが剣を振るうたびにあたりに衝撃波が走る。
ここがロキの作り出した空間でなければ周囲はクレーターだらけになっていたことだろう。
クロードは和の国で言われたことを思い出す。
ここはロキの作り出した空間だ。
つまりはロキにとって有利な空間でありクロードにとっては不利な状況。
実際、クロードのステータスは下がりロキのステータスはあがっている。
戦えているのは世界樹でステータスを底上げし、疑似の神力を身体強化に使っているからだ。
「この空間でそこまで戦えるとはな。正直、驚いたぞ」
ロキとしては警戒してこの空間に引きずりこんだが所詮は人だ。
軽く捻り潰すつもりでいた。
だが、実際にはそうなっていない。
「はぁはぁ」
クロードは肩で息をしながら呼吸を整える。
苦戦しつつもクロードはこの状況に少しずつ慣れ始めていた。
ロキの動きは洗練されている。
しかし、わずかに癖のようなものもある。
その癖から次に何が来るのか予想し最善手を考える。
僅かな隙をつき剣を繰り出す。
ロキの剣は空振りし浅くではあるがロキに傷をつけることに成功する。
「ほう。やるではないか」
ロキの存在が大きくなる。
ロキの体から神力が溢れだし膝をつきそうになる。
だが、クロードもそれに対抗するように疑似神力の出力を上げる。
体が悲鳴をあげている。
疑似神力とは言え、これ以上出力をあげれば体が崩壊するだろう。
だが、クロードはそれがわかっていながら出力をあげていく。
「かはっ」
クロードの口から血が溢れだす。
この状態では次の一撃が最後になるだろう。
出来る限りの疑似神力を剣に込める。
愛剣が悲鳴を上げている。
しかし、愛剣は全ての疑似神力を受け止め準備が完了した。
クロードは上段に剣を振りかぶり振り下ろす。
ただ、それだけの動作で斬撃が生まれ一直線にロキに向かっていく。
繰り出したのは剣技であって剣技ではないもの。
ただ、神を滅ぼす為の一撃。
ロキはそれを迎え撃とうとして危険を感じ回避した。
しかし、斬撃は避けられても再びロキに向かって機動を変える。
「これは・・・」
ロキが戸惑っているのがわかる。
だが、クロードの意識はそこで途絶えた。
永遠と斬撃に追われ、避けきれなくなったロキに斬撃が当たる。
クロードの放った斬撃はロキに致命傷を与えていた。
「ふはは。まさか分体とは言えこの私が負けるとは」
ロキの体が光に包まれる。
通常であれば神が死ねば虚無空間に神力が放出されるのだが何故か光はクロードに吸収されていく。
「はは。まさか・・・だったとは」
ロキのその発言を最後に空間が割れていく。
本来であれば人界に戻るはずだったが周囲は虚無空間だった。
虚無空間にクロードが放出される。
どうやらクロードの存在に危機感を抱いた覗き見ていた神が介入したようだった。
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