第568話
神力を扱えるようになる為に必要な魔力がまだまだ足りないと分かった翌日、カランが訪ねてきた。
どうやら預かっていた精霊達の教育が終わったらしい。
「数が多いから時間がかかってしまった。すまないね」
「いえ、それで精霊達はどうなりましたか」
「うむ。希望する精霊達が多かったのだけどね。世界樹の維持のことを考えると多くの精霊達を連れていかれるとやはり困ってしまう。そこで、各属性の精霊1体に絞らせてもらった」
カランが言うには各属性の精霊を決めるのは大変だったらしい。
クロードとしては苦笑いするしかない。
『クロード。改めてよろしくね』
選ばれた精霊達はそう挨拶をして消えていった。
力を増した精霊達は普段は別次元に潜っており必要に応じてこちらの世界にでてくるとのことだった。
「それで、今日はどうするの」
イフの質問にクロードは笑顔で答えた。
「700層のハイオークキングとハイオーククイーンは復活するのに時間がかかりそうですし701層に挑む予定です」
「そう。精霊達が戻ってきたのは丁度よかったわね」
701層から出てくるのはゴーレムだ。
非常に物理に強く倒すには弱点となる属性の魔法を使うしかない。
しかし、そんな倒し方をしていては魔力がどれだけあっても足りない。
そこで大活躍するのが精霊達だ。
武器に宿ることによって魔法と同じ効果が狙えるのである。
「後は言い難いのだけど、採れた鉱物と結晶を譲ってくれると助かるわ」
「わかりました」
「701層は我々にとっても厄介な場所だからな」
人族よりエルフ達の方が魔法の扱いは得意だったりする。
ハイエルフ達はさらに魔法が得意だ。
だが、問題がないわけではない。
生まれつき得意属性が決まっておりそちらの方面の習得はしやすい一方で他の属性の習得が難しくなっている。
その関係で701層から上の探索はパーティ―を組んで挑むしかないのだ。
色々忙しいハイエルフ達は中々、人数を揃えて挑むというのが難しい。
その結果、鉱物や結晶といった備蓄が少ないのだ。
その少ない備蓄を容赦なく溶かしている人物がいる。
その犯人はファフニールである。
その使い道がクロードの装備である為、責任の一端はクロードにもあると言える。
そういうわけで獲得した鉱物や結晶を提供するのはむしろ義務とも言えるかもしれない。
そんなことを考えながらクロードは転移陣に乗って700層へと飛んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます