第545話
クロードは今日も今日とて世界樹を登っていた。
剣に水の精霊を宿していなければ刃があっという間に熱でボロボロになっていただろう。
それぐらい400層以降の世界樹は武器に優しくない環境だった。
装備によって熱を軽減しているとはいえ、それでも暑いものは暑い。
体は汗ばみ服はぐしょぐしょだ。
水を魔法で生み出せなければ到底踏破など不可能だ。
それはそうと450層を超えたあたりから後をつけてきている者がいた。
見知った気配であり害意があるわけではないが鬱陶しいことには変わりない。
休憩のタイミングでもあったし語りかけてみる。
「イフさん。何か御用ですか」
「あはは。君が倒れないか心配でね」
そう言って現れたのは4大精霊のイフリートと契約しているハイエルフの長の1人イフ・フリーデントである。
「仕事をしなくていいんですか」
確か、前回は同じ長に連れられて強制連行されていたはずだ。
「あぁ。そのことか。幸い君が精霊達を育ててくれたからね。そのおかげでかなり助かっているんだよ」
力の使い方を成長した精霊に教えるということで引き渡したことを思い出した。
「それにね。君に出された条件って本当は世界樹攻略をさせる気がなかったのさ」
「どういうことですか」
「精霊だけの力で昇るように言われたね。それはハイエルフでも不可能なことなのさ。私が同じ条件を出されたとして実現不可能さ」
「そうなんですか・・・」
「ハイエルフもエルフも得意属性の精霊とは結び付きが強くなるけど正反対の属性とはとことん相性が悪くなる。それは人間も同じことだよ」
「僕はどんな属性の精霊とも相性がいいみたいですけど・・・」
「私達も疑問に思って精霊王様に問い合わせたのさ。その結果だけど君は異端すぎる」
「異端ですか」
「うん。北欧の神々に運命を捻じ曲げられて生まれたことが1つ。それと君、東方で龍脈に触れたね。あれも良くなかった。力を持ち過ぎた結果、君の人生には次々と厄介ごとが降りかかるだろうね」
どれも自分ではどうしようもなかったことではあるけれどそれを言われると反論できない。
「神々は君を便利使いするだろう。正直な話、ロキを君が倒す必要はあるのかい」
「ロキを倒さなければ自分の周りが不幸になりそうなので」
ロキは遊び感覚で世界をひっかきまわしている。
あれを放置すればいつ自分の身内に不幸が訪れるかわからない。
放置するなど存外だった。
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