第502話
まずは基本属性である火から試してみる。
火の精霊は剣に吸い込まれるように消え一体化する。
その状態で手近なところにいたゴブリンを斬ってみる。
切断されたゴブリンの傷が火を突きつけられたように焼けた状態となり霧となって消えていった。
「どうやら成功のようですね」
そこに剣から出てきた火の精霊が答える。
「この剣は凄いね。普段より力が湧いてくるよ」
「ずるい~。次は僕僕」
そう言って風の精霊が剣と一体化する。
クロードは苦笑いしつつも試し切りをする。
剣が普段より軽く感じ切断面も鮮やかだった。
その後も精霊達にせがまれ試し斬りを続けた。
時の精霊と空間の精霊も問題なく剣に宿ることが出来たので2精霊を中心にゴブリン討伐を続ける。
剣に精霊を宿すことで討伐ペースが上がり30層までやってきた。
ここからはゴブリンが集団で固まっている。
しかし、精霊を宿した剣とクロードの卓越した剣技の前では問題とならなかった。
「おや、誰かいますね」
順調にゴブリンの討伐をしていたクロードはゴブリン以外の気配を感じて立ち止まる。
風の精霊が耳を澄まして精霊の声を拾う。
「エルフだね。どうやら水の精霊と相性のいい子みたい」
「どうするべきですかね」
「普通に挨拶したらいいんじゃないの」
「どうやら僕はエルフ達に歓迎されていないみたいなんですよ」
ハイエルフであるイフなんかは例外として普通のエルフ達からは敬遠されたことを思い出す。
エルフ達からすれば過去の出来事と聖域である自分達の住処に迷い込んだ迷惑な客のようなものだったのだろう。
クロードが悩んでいるとあちらもこちらに気づいたのだろう気配がどんどん近づいてくる。
長髪だが遠目からもわかるイケメンだった。
今更だがエルフ、ハイエルフはこの世界でも美男美女揃いである。
それ故に奴隷として狙われたわけだが羨ましい限りだ。
「おや、誰かと思えば噂の人の子か」
「噂ですか」
「我らの聖域に土足で踏み込んだ愚か者。里では世界樹に挑んで出てこないことから死亡説が流れていたな」
どうやらクロードは死亡したと思われていたようだ。
ちなみにであるが世界樹は10層ごとに転移魔法陣が存在しており転移先に一度到達する必要はあるが世界樹に出入りするエルフはこれを利用している。
クロードもその存在は知っていたが嫌われているのに戻る必要はないだろうと安全地帯を利用しつつ世界樹に籠りっぱなしだった。
「何やら警戒させたようだが我に害意はない」
どうやらこのイケメンのエルフは里にいたエルフ達とはまた違った考えを持っているようだった。
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