第501話

世界樹20層からはゴブリンが集団で現れる。


ゴブリンマジシャンこそ含まれていないが武装で固められたゴブリンは中々に厄介だ。


今、クロードは水と土の精霊を中心に攻略を続けていた。


火と風の精霊は合わせ技で効率よく能力が上がっているのに対し育成が遅れているという理由がある。


後々に属性ゴブリンが現れた際、育成を怠っていた為に攻略できないという事態を回避するためだ。


土の精霊はより効率よく倒すために岩をとがらせ貫通力を高めている。


水の精霊は水を圧縮してみたのだが貫通させるまでは至らず不評ではあるが窒息死させるという手法をとっていた。


水の精霊からは文句を色々言われたが倒せないのだから仕方ない。


そう、仕方ないのだ。


探索の過程で特殊な属性の精霊とも出会っている。


雷、時、空間、闇、光など。


雷の精霊や闇の精霊に光の精霊は普通に攻撃させるという手法が取れたのだが時の精霊や空間の精霊はどのように育成したらいいのかわからず保留となっている。


「う~ん。どうしましょうかね」


クロードの質問に答えたのは空間の精霊だ。


「うむ。今の我は大した力を持たないが故に攻撃手段がないのだ」


本来の力があれば空間を切除するという攻撃方法がとれるとのことだが今はそれが行えない。


出来ることと言えば空間を揺らがし幻影を作るぐらいだ。


有効に使えれば十分凄い技能なのだがこれでは敵を倒すことが出来ず成長することもできない。


時の精霊も成長すれば斬撃を過去や未来に飛ばすといったことが出来るそうだがこちらも今は力が足りず少し時間を引き延ばす程度だ。


こちらもこれでは成長することが出来ず手詰まりと言ったところだ。


時の精霊は長いこと適合者が現れず長いことエルフ達の修行者を見てきたらしい。


「なら、これを試してみればいいんじゃないかな。エルフ達は武器に精霊を宿らせて攻撃していたよ」


「そんなことが出来るんですね」


「あぁ。その手があったか」


4大属性の精霊達も思い出したように賛同してくれる。


「僕らの力は弱いから余り強力な武器に宿るのは難しいけどクロードが腰に下げている剣なら大丈夫じゃないかな」


今、クロードが腰に下げているのは父であるファイネルから贈られた剣である。


品質は良いが性能的にはそこまで高くない。


ただし、精霊が宿っていると言われた剣だ。


他の精霊とも相性が良いのかもしれない。


「それではまずは試してみましょう」


こうしてクロードは実験的に剣に精霊を宿すことを試すのであった。

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