第488話
「さて、食事も済んだことだし早速出かけようか」
そういってイフは出かける準備をはじめる。
クロードもそれに習い装備を確認する。
世界樹の1層は襲いかかってくるような魔物は生息していないが念の為だ。
家の外に出るとエルフ達はまだ活動する時間じゃないのかエルフの里は閑散としていた。
イフは迷うことなく世界樹に向かって歩いていく。
世界樹の麓に到着するとぽっかりと口を開けたような穴が空いている。
ゲーム時代では感じなかったがこうして現実となった世界で改めて見てみれば世界樹の凄さに圧倒される。
穴を抜けた先は異空間のようで木々が生い茂っている。
少し歩けば果樹が所々に植わっており甘い匂いを漂わせている。
「あんまり驚かないんだね」
そういうイフの横顔は少しいじけているように見える。
「運ばれてくる果物で予想は出来ていましたから」
「そうか。それは残念」
半日ぐらい歩いただろうか。
世界樹の中は広大で近くの果樹から果物をもぎ取り昼食として頂く。
「目的の場所にはまだ着かないんですか」
「もう少しといったところかな」
クロードとイフの目指しているのは妖精の泉と言われる世界樹の中心に位置する泉だ。
目的は精霊の目を得ること。
精霊とやり取りする為には最低限精霊が見えることが必須条件だ。
精霊との親和性が高ければ直接会話することも可能らしいが比較的親和性の高いエルフでもそれが可能な者は少ないらしい。
再び歩きだして2時間程だろうか。
視界が開けてその中心に泉が現れた。
泉はキラキラと光り明らかに普通の泉とは違うことが伝わってくる。
「ここが目的の精霊の泉だ」
「空気が澄んでいて水からも力を感じます」
「龍脈の力を世界樹が取り込み湧き出しているんだ。世界樹が取り込んだ龍脈の力は拡散され魔力となり世界中に散っていく」
「普段なにげなく使っている魔法は世界樹がなければ成立しないんですね」
「その通り。精霊は拡散された魔力を運ぶ役目をしているんだ。でなければ世界樹の近辺だけが魔力の濃い地域になってしまうからね」
「精霊には感謝しなければいけませんね」
「精霊の凄さがわかったところで服を脱いでくれるかな」
「服を脱ぐんですか」
「だって泉の中に入るわけだから必要なことだろう」
そう言ってイフはクロードを凝視してくる。
「理由はわかりますけどそんなに見ないでくださいよ」
「それは無理かな」
年齢はかなり上のはずだが美人であるイフに見られていると思うと恥ずかしさがこみあげてくる。
羞恥心と戦いながら服を脱ぎ妖精の泉の中に入るクロードなのだった。
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