第487話

クロードは十分な睡眠を取れてスッキリした目覚めを迎えていた。


窓から外を見ればまだ暗い時間だが気分転換とよくしてくれるお礼に料理をするなら丁度よい時間だ。


アイテムボックスから買っておいた牛乳を取り出し錬金術で水分と脂肪分を分離させる。


脂肪分を氷魔法で冷やしながらかき混ぜていく。


そこに砂糖を加えて丁度良い固さになるまで手際よくかき混ぜてゆく。


これで生クリームの完成だ。


出来上がった生クリームは一度アイテムボックスにしまい果物をカットしていく。


今回使う果物はイチゴにキュウイ、蜜柑などだ。


カットが完成したら予め買っておいたパンを取り出し切れ目を入れて先ほど作った生クリームとカットした果物を挟み込んでいく。


これでフルーツサンドの出来上がりだ。


続いてアイテムボックスからトウモロコシを取り出し蒸した後、粒をナイフで削り取っていく。


削り取った粒を鍋に入れ牛乳を加え加熱していく。


残っていた生クリームを少し加え塩とオリーブオイルに最近開発が完了したコンソメの粉を加え味を整える。


特製のコーンスープが出来上がった頃、匂いに釣られたのかイフさんが顔を出す。


「いい匂いだけど君って料理も出来たんだね」


「起こしてしまいましたか」


「うん。普段はもうちょっとゆったりするんだけどね。せっかく作ってくれたのだから冷めてしまう前に頂こうかな」


そういってイフは笑っている。


クロードはフルーツサンドとコーンスープを配膳して席につく。


「パンにフルーツを挟んだんだね。見慣れないこの白いのは何かな」


「牛乳から作った生クリームです。お口にあうといいのですが」


未知の食べ物に臆することなくイフは口に運ぶ。


「果物の甘みとはまた違っていいね。これならいくらでも食べられそうだ」


そういってイフは次々とフルーツサンドを口に運んでいく。


クロードはそれを見ながらコーンスープに手をつける。


とうもろこしの甘みと隠し味として加えた生クリームでクリーミーに仕上がっている。


「さてさて、こちらのスープも頂こうかな」


そういってイフはコーンスープにも手を出す。


「はぁ・・・。なんだか優しい味だね」


「ご満足頂けたようで良かったです」


「満足なんてものじゃないさ。人族はこういった物を食べてるんだね」


「エルフは違うのですか」


「めんどくさがりでものぐさな者が多いのさ。基本的には果物。たまに肉を焼いて食べるぐらいかな」


「それはまた・・・」


エルフは究極のベジタリアンなんだろうかと思ってしまったクロードなのだった。

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