第472話
クロードは村を囲う木材の収集を終え錬金釜で質の悪い武具を鋳つぶしてインゴットに変えそこにいくつかの素材を混ぜて粘りのある金属を作り出しワイヤーに加工していた。
ワイヤーを防壁の木材に絡めることで補強し次々に設置していく。
防護壁だけでは防御面に不安が残る為、村の外には空掘を掘ることも忘れない。
東西南北に門を設置し東の門だけは交通の便を考えて吊り橋式で他の門に関しては通行の際、梯子をかけることで通行する形である。
午後は村の若者達の訓練があったため一気に防壁を作ることはできなかったがそれでも1週間かけて防壁の設置は完了した。
防壁は余裕を設けて作られているため村人が増えて住居や農地などを広げる事が可能となっている。
「最初はお一人で作られると聞いてもっと時間がかかるものかと思っておりましたがこれだけの短期間で作られてしまうとは」
「これで獣や魔物の被害はなくなると思います」
「ありがとうございます。これで脅えて暮らす必要はないのですね」
「とはいえ油断は禁物ですよ」
「心に留めておきましょう」
「それはそうと村長にお願いがあるのですが」
「なんでしょうか」
「鍛えている若者を連れて森に入りたいのですが」
「森にですか」
「えぇ。木材を採取しながら植生を確認しましたがここの森は豊かですからそれを活かさないのは勿体ない」
「確かに以前は狩人が森で採取して生計を立てていましたが魔物や獣が増えすぎて怖がるようになりまして今では他の村人と同じように農地を耕しております」
「森を知るからこその判断でしょうね。しかし、村のことを考えるなら定期的に獣や魔物の間引きは必要ですよ」
「なるほど。増え続けるままにしていてはまた同じことの繰り返しとなりますか」
「えぇ。幸い彼等は辛い訓練に耐えられるだけの根性がありますし経験を積めばこの村を守る力になるでしょう」
「そこまで言ってくださるならお任せします。若者達の家族には私の方から話を通しておきます」
「よろしくお願いします。ご信頼に応えられるように頑張ります」
翌日、クロードは村長の家の前に集まった若者達にアイテムボックスに入っていたリザードマンの皮製の防具を渡し装備させると彼等を引き連れて森へと向かった。
森での警戒のしかたや価値のある植物の見分け方などを教え込んでいく。
昼食までの間にショートスネークやホーンラビット等、弱い魔物ではあるが油断することなく基本に忠実な動きで仕留めることに成功しており成果は上々であった。
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