第399話
クロードはファフニールさんと共に学園の鍛冶場にやってきていた。
「設備はまずまずといったところか。問題は炉じゃな」
ファフニールさんはそう言うと炉を調べ始める。
「やはりこのままではアダマンタイトを鍛えるのは無理じゃな」
「標準的なものだと思うのですけどダメなのですね」
「アダマンタイトを加工するにはもっと高温を出せるようにしないと溶かすことすらできんじゃろうな」
「それではまずはどうしましょうか」
「炉を一度崩し組み立てることからはじめよう」
ファフニールさんの指示の元、炉を崩して指示通りに組み立てていく。
「そしてここでこの魔水晶を設置するのじゃ」
ファフニールさんが取り出した魔水晶はクロードが見たことのある水晶だった。
「これは魔水晶というのですか」
「なんじゃ。魔水晶を見たことがあるのか」
「魔人達が設置した転移門の動力源としてみたことがあります」
「なるほどな。今では儂ぐらいしか作れんと思っておったが魔人達がのう」
「これはどういった品物なのですか」
「核となる水晶に魔石から抽出した魔力を丁寧に移すことで作り上げるのじゃ」
「神経を使いそうな作業ですね」
「失敗すると魔力災害が発生するからの。専用の設備に何重もの安全策を講じてはじめて製作が可能なんじゃよ」
「そちらのほうも学んでみたいですね」
「魔水晶も使用すれば摩耗するからの。当然作り方も覚えてもらう。それよりも今は炉を完成させる方に集中じゃ」
慎重にクロードは魔水晶を指定された場所に設置して炉の構築を再開する。
ファフニールさんの指示の元、炉は完成した。
「炉は完成したがまずは普通の鉄で基礎を学んでもらおうかの」
そこからクロードはひたすらに鉄を打ち続けた。
少し油断するだけで完成度に差が出るため常に集中を強いられた。
「錬金術を用いて加工していただけあってそこいらの素人と比べれば素質がある」
ファフニールさんはそう言ってくれるが納得のいく結果は得られていない。
「中々難しいですね」
「そう簡単に習得できるなら鍛冶屋などいらんからの。今日はこれぐらいにしておこう」
炉の灯りで気が付かなかったが気が付けば辺りは真っ暗だ。
「ありがとうございました」
「主は学生とのことだったな。授業中に必要な物は手配しておこう」
「何から何まですみません」
「気にするでない。久々に鍛えがいのありそうな弟子に出会えて儂は嬉しいぞ」
クロードは寮に戻り軽く食事を取ってからすぐに眠りに落ちていった。
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