第398話
学園に戻ってきたクロードはネツァルさんが与えられている研究室に入り浸っていた。
これは手に入れたアダマンタイト鉱石を有効に使うためなのだがクロードは嬉々として研究に打ち込んでいた。
「クロード。儂は少し出かけてくるぞ」
「わかりました」
アダマンタイトは非常に硬い性質を持ち錬金術を用いても多少変形させるのがやっとの状況だ。
これを利用できるように加工するのは中々骨の折れる作業であるがクロードは時間をかけて短剣を1本作り出すことに成功する。
「う~ん。何とか加工は出来たけど実戦では使えそうもないかな」
「それはそうだろう。ただ削り出しただけではダメだからな」
独り言に返答がありクロードが驚いているのに構わず答えた人物はずかずかと歩み寄ってきて短剣を眺めている。
「貴方はミースールのドワーフのお爺さんじゃないですか」
「久しぶりじゃな。ネツァルの奴が突然訪ねてきた時は驚いたがお主がネツァルの弟子だったとはな」
「なんじゃ。二人とも知り合いか。話が早くて助かるの」
「どういうことなんですか」
「アダマンタイトを扱えるようになりたいのじゃろ。なら専門家に任せた方がよいと思ってな」
「改めて挨拶をしておこう。ドワーフの鍛冶師でファフニールじゃ」
「クロード・フォン・プロミネンスです」
「お主にはこれから鍛冶師としてのノウハウを学んでもらう」
「それは光栄ですがお仕事はよろしいのですか」
「最近は魔物の被害の関係で依頼していた冒険者達が忙しくて材料のアダマンタイトが入手できなくてな。暇を持て余していたところなので今回の件を引き受けた次第じゃ」
「そういうことならよろしくお願いします」
「まずは鍛冶場を整えることからはじめよう」
「そういうことなら学園の許可をとってきますね」
「うむ。その間に儂は材料を揃えておこう」
クロードが鍛冶場の改修許可を得にいくと理事長のサイネルが対応してくれた。
「度々すみません。鍛冶技術を学ぶのに鍛冶場の改修をしたいのですが」
「ふむ。鍛冶場の改修か。あまり利用者もいないし好きに使ってくれて構わないよ」
「言っておいてなんですがそんな簡単に許可を出していいものなんですか」
「信用しているし設備がよくなるなら学園にとっても得だからね」
「そういうものですか」
「それに君は学園の生徒だけど教えてあげることが出来ていない。学園としては君が何かを学習してくれるならそれに越したことはない」
「ありがとうございます」
理事長の許可も得られたところでクロードはファフニールの元に戻るのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます