第400話

クロードが授業を終えて鍛冶場に向かうと大量の鉄に迎え入れられた。


「こんなに大量の鉄どうしたんですか」


「鍛冶組合にいってお主の練習用として仕入れておいた」


「わざわざすみません」


「これから見本の武器を打つからよく見ておくんじゃぞ」


ファフニールさんは鉄のインゴットを持つと炉と向かい合う。


十分熱された炉に鉄のインゴットを入れればたちまち溶けてゆく。


ファフニールさんは熱された鉄を取り出してハンマーで素早く叩き形を整えていく。


鉄はあっという間に剣の形となっていく。


「こんなものかの」


出来上がった剣を見せてもらうと自分が打ったものとは出来が全然違っていた。


「腕の差でここまで違いが出るものなんですね」


「とにかく数を打って経験を積むことじゃ」


ファフニールさんに促されクロードはひたすら鉄と炉と向き合い無心でハンマーを振るった。




ファフニールの的確な指導とクロードの持つ体力の高さから数週間の修行の結果、鉄を使った武器製造法をマスターすることが出来た。


「うむ。よく頑張ったの。鉄に関しては及第点じゃ」


「ありがとうございます」


「今度は鋼の鍛錬じゃ」


「はい」


それから鋼、ミスリル、オリハルコンと段階を踏んで使う金属の特性を掴んでいった。


「ふむ。やはり錬金術で使っていただけあって筋がいいのう」


「次はいよいよアダマンタイトですが演習に参加しなければいけません」


「ここまでは予定より早く習得できておるし気分転換も必要じゃろう」


「代わりといってはあれですが持っているアダマンタイトは置いていきますね」


クロードはアイテムボックスからアダマンタイトを次々と取り出していく。


「相変わらず凄い数じゃな」


「前回ダンジョンに潜った際に階層中のワーカーアントを討伐することになりまして」


「それなりの理由があるのじゃろうが無理はいかんぞ」


「心配してくださりありがとうございます。それでは行ってきますね」




クロードは集合場所に向かい馬車に乗り込む。


今回もエリーゼとは一緒で監督役の高等部の生徒の顔ぶれだけは違っていた。


「最近、忙しそうだから演習には参加しないのかと思ったわ」


「忙しかったのは確かですがカリキュラムには従いますよ」


今回向かう先も鉱山都市グローリアである。


忙しい合間を縫って護衛役の元冒険者達の手配もばっちりである。


「クロード君の担当になれてラッキーね。演習中はハードだって聞いてるけどリターンは大きいって」


「先輩達にも戦闘には参加してもらいますが出た鉱石は僕が全て買い取りますから」


「鉱山都市グローリアの鉄とか銅は有名だけどミスリルやオリハルコンも産出するって噂だものね」


雑談しながらも馬車は確実に鉱山都市グローリアへ向けて移動していた。

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