第391話
起きたクロードは精力的に領内の事後処理を進めていた。
ミッシェルさんとファールハイト兄様がまとめてくれていたので書類に目を通すだけだが今回の一件で滞った物流などしなければならない事が多かったのである。
それに加えて援軍を出してくれた諸侯にもお礼の品を用意する。
いくら同じ派閥であるといっても礼儀は大切だ。
それらの手配を終えてクロードの姿は王都にあった。
王都に戻ってきたクロードは王宮を訪れていた。
「クロードか。今回は色々すまなかった」
「あの状況では仕方ないかと。近衛騎士団を派遣していただきありがとうございました」
「そもそも北方問題に関わらせなければ自領の戦力だけでなんとかなっただろう。その埋め合わせをしただけにすぎんよ」
「それでも感謝申し上げます。民に被害が出なかったのは陛下の英断のおかげですので」
「それでシンラ帝国と戦った感想などはあるか」
「重装歩兵部隊は厄介ですね。完全に重装歩兵部隊で固められたら苦戦は免れないでしょう」
「勝てぬと言わないのはそなたらしいな。幸いなことに出てきていた重装歩兵部隊は壊滅させたと報告を受けている。再建するには相当な時間を要するだろう」
「航空部隊があると戦術の幅が広がりますね。今回これだけ早く決着をつけられたのは航空部隊あってのことです」
「やはり上空をとれると戦況はそれだけ有利になるということだな」
「大規模に編成をしてもいいかもしれませんね」
「そちらに関しては限定的な召喚術の使用を認める方向で調整している最中だ」
「毎回僕が準備するわけにもいかないですしね」
国王陛下であるポセイドスとクロードの情報交換はこの後も続いていく。
この後ゲルマン王国は新たな兵科として航空騎兵の配備を進めていくこととなる。
召喚陣の作成は限られた宮廷魔術師にのみ伝えられ秘匿されたのである。
同盟国であるドラゴニアや周辺の国々は秘密を探ろうとしたのだがゲルマン王国は徹底した機密保持でそれを退けた。
ゲルマン王国で航空騎兵の配備が進むと遠慮する必要はなくなったのでクロードもニーパス領に大量の航空騎兵の配備を進めていくこととなる。
航空騎兵は召喚したグリフォンやワイバーンを御する必要があったため自然と精鋭になる傾向があった。
クロードは学園に通いつつ放課後や休日は忙しく動き回ることとなるがロキの影が見え隠れする現状出来ることは全て行い何がきても万全の状態で立ち向かう覚悟だったのである。
エリーゼはそんなクロードを心配していたが必要がそうするのだということもわかっていたため見守っていた。
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